冷蔵庫で解凍した肉は何日もつ?調理師が5日間観察しました

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こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و

冷凍しておいた肉を、前の日に冷蔵庫へ移して解凍した。
けれど予定が変わって、その日は使わなかった。
次の日も使えなかった。

この肉、いつまで大丈夫なんだろう。

調べると「2〜3日」「当日中に」「早めに」と、いろいろな答えが出てきます。
ただ、本当に2〜3日や当日中に食べないと危険なのでしょうか?

そこで、実際にやってみました。
冷蔵庫で解凍した豚こま切れ肉を、5日と10時間、見て・触って・においをかいで記録しました。
この記事は、その観察記録です。

先に、この記事の条件をお伝えします

  • 使ったのは、冷凍室に長く入れていて冷凍焼けした豚こま切れ肉です。買ってすぐの肉とは条件が違います
  • 冷蔵庫の普通の棚に置きました。チルド室ではありません
  • 袋から出して皿にのせ、ラップをかけて保存しました
  • 食べたのは2日目までです。3日目から5日目は観察だけで、食べていません。真似して食べないでください
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目次

結論 2日までに使い切る。2日以内でも、ぬめりが出たら捨てます

先に結論です。
決まりは2つあって、早いほうで終わりです。

  • ぬめりが出たら、その時点で捨てる。2日以内でも同じです
  • ぬめりがなくても、2日を過ぎたら捨てる。2日までなら、しっかり加熱すれば食べられます

「ぬめりで決めるなら、日数はいらないのでは」と思われるかもしれません。
けれど、逆です。

ぬめりは、気づいた時点ではもう手遅れのサインだからです。

ぬめりは、肉の表面で菌が増えた結果として出てきます。目で分かるほど出ているということは、すでにかなり増えたあとです。
そしてその手前の段階では、見ても触っても分かりません。

だから、日数の期限が要ります。
2日というのは、ぬめりが出る前に使い切るための期限です。「2日目までなら必ず安全」という意味ではありません。

では、色はどうか。
これは判断に使えませんでした。5日と10時間たった肉にも、まだ赤い部分が残っていて、腐敗臭もしませんでした。茶色くくすんだ部分は増えましたが、「腐っている」と言い切れる見た目ではありませんでした。

3つの手がかりを整理すると、こうなります。

手がかり使えるかどう使うか
色(赤身の赤さ)使えない5日たっても変わりきらない
ぬめり・におい使える出たら、その時点で終わり
日数使えるぬめりが出る前に使い切るための期限

一方で、2日目に、表面が光りはじめました。
触るとぬめりがあります。
同じ頃、油が酸化したにおいも感じるようになりました。
色よりずっと早く、手と鼻が教えてくれていたわけです。

冷蔵庫で解凍した豚肉の変化。ドリップ、脂の色、ぬめりの順に変化が来たことを示す時間軸の図
変化は「ドリップ → 脂の色 → ぬめり」の順に来ました。食べるのは2日までです。

5日10時間、何が起きたか

記録した9回分をまとめます。

経過見た目手ざわりにおいドリップ
解凍開始霜あり・冷凍焼けの茶色い斑点硬いなしなし
6時間半解凍・赤い硬めなしなし
10時間赤いやわらかいなしうっすら
17時間赤いやわらかいなし一番多い
1日9時間少しくすむ—なし乾いた跡だけ
1日19時間脂がクリーム色に—なし跡も消える
2日9時間茶色が増える表面が光る・ぬめり油のにおいなし
3日9時間中央まで茶色ぬめり油のにおいなし
5日10時間半分近く茶色ぬめり油のにおいが強いなし

腐敗臭は、5日10時間たっても最後までしませんでした。

解凍開始 冷凍焼けした豚こま

冷凍室から出したばかりの豚こま切れ肉
解凍開始。中央の茶色い部分が、冷凍焼けの跡です。このあと観察用に丸皿へ移しました。

前の記事で紹介した、冷凍室の奥に長く入っていた豚こまです。
霜がついていたので軽く洗いながしてあります。
肉の中央に茶色い斑点が見えますね。

6時間後 半解凍。ここが一番使いやすい

解凍開始から6時間後の豚こま切れ肉
6時間後。中心はまだ凍っていて、皿に液体はたまっていません。

中心は凍ったまま、外側だけがゆるんだ状態です。
ドリップは出ていません。
切る・分けるなら、この時間帯が一番やりやすいです。

10時間後・17時間後 ドリップが出る

10時間後の豚こま切れ肉と皿
10時間後。皿のふちに、うっすらと色が付きはじめました。
17時間後の豚こま切れ肉と皿にたまったドリップ
17時間後。観察した中では、この時点が一番ドリップが多く出ていました。

完全に解けたあたりから、ドリップが出はじめます。
17時間後が最も多く、肉の下に輪のようにたまっていました。

ただし、ドリップが出た=傷んだ、ではありません。
この時点では、においも手ざわりも変わっていません。

1日と9時間後・1日と19時間後 ドリップが消え、脂の色が変わる

1日9時間後の豚こま切れ肉
1日と9時間後。ドリップは液体ではなくなり、乾いた跡だけが残っていました。
1日19時間後の豚こま切れ肉
1日と19時間後。赤身より先に、脂が白からクリーム色に変わってきました。

ここで予想と違うことが起きました。
出ていたドリップが、乾いた跡になって消えたのです。
冷蔵庫内が乾燥していたせいでしょうか。

そしてもう一つ。
赤身の色より先に、脂の色が動きました。
白かった脂が、クリーム色を帯びてきます。
油が酸化しはじめているサインです。

2日と9時間後 表面が光り、油のにおいがした

2日9時間後の豚こま切れ肉
2日9時間後。茶色い部分は増えましたが、腐ったようには見えません。

ここが分かれ目でした。表面が光って見えるようになり、触るとぬめりがあります。
においも、油っぽさがはっきりしてきました。

けれど写真を見てください。
腐っているようには見えません。
見た目だけ見せられたら、多くの人が「まだいける」と思うはずです。

これが、色で判断してはいけない理由です。

3日と9時間後・5日と10時間後 ここから先は食べていません

3日9時間後の豚こま切れ肉
3日と9時間後。茶色い部分が中央まで広がりました。
5日10時間後の豚こま切れ肉
5日と10時間後。くすみは進みましたが、赤い部分も残っています。

5日たっても、赤い部分は残りました。
くすみは広がり、脂は黄色みを帯び、ぬめりと油のにおいは強くなりましたが、腐敗臭はしませんでした。

それでも食べていません。
腐敗臭がしない=安全、ではないからです。
食中毒を起こす菌の多くは、においも味も変えずに増えます。

触ったあとは、必ず手を洗ってください

生の肉に触れた手で、そのまま野菜やパンに触ると、菌が移ります。観察のために触る場合も、そのつど石けんで手を洗い、使った皿とまな板は洗剤で洗ってください。

ドリップは、なぜ途中で消えたのか

正直に書きます。
はっきりした理由は分かりません。

考えられるのは2つです。

  • 肉がもう一度吸い戻した
  • ラップのすき間から蒸発した

皿にはラップをかけていたので、水分が外へ逃げた量は多くないはずです。
そう考えると、肉が吸い戻したほうが主な理由かもしれません。

ただ、ラップは密閉ではありませんし、冷蔵庫の中は思っているより乾いています。
皿に乾いた跡が残っていたことからすると、蒸発した分もあったはずです。
どちらがどれくらいかは、分かりません。

いずれにしても、ドリップが見えなくなったことは、状態が良くなったという意味ではありません。
ドリップが消えたあとのほうが、ぬめりもにおいも進んでいました。

なぜ「2日まで」なのか

私の観察は1回きりのものです。根拠として、公的な情報も確認しました。

冷蔵庫に入れても、菌は増え続けます

厚生労働省は、食中毒を防ぐ三原則のひとつとして「増やさない」を挙げ、低温で保存することを勧めています。
ただしこれは増えるのを遅くするということで、止まるわけではありません。
冷蔵庫の中でも、時間が経てば菌は増えます。

農林水産省も、家庭での解凍について「解凍した食品は、できるだけ早く使い切る」よう案内しています。

豚肉は、中心までしっかり加熱します

厚生労働省は豚肉について、中心部を63℃で30分間、または75℃で1分間以上加熱するよう示しています。
2015年6月からは、豚肉・豚レバーの生食用としての販売も禁止されています。

解凍から日が経った肉ほど、この加熱を守る意味が大きくなります。

海外の目安も、同じ方向を向いています

補強として挙げると、米国農務省は冷蔵庫で解凍した肉について、ひき肉・薄切り肉は1〜2日、かたまり肉は3〜5日のうちに調理するよう示しています。

豚こま切れ肉は薄切り肉です。
つまり、短いほうの「1〜2日」にあたります。
私が観察で感じた2日目の変化とも、ずれていません。

こま切れ肉が早いのは、切った面が多いから

同じ豚肉でも、かたまり肉とこま切れ肉では日持ちが違います。

菌がつくのは、おもに肉の表面です。
かたまり肉は外側だけですが、こま切れ肉は小さく切ってある分、空気に触れる面がずっと多くなります。
ひき肉はさらに多く、だから一番早く傷みます。

肉の形空気に触れる面冷蔵で解凍したあとの目安
かたまり肉少ない3〜5日
こま切れ・薄切り多い1〜2日
ひき肉とても多い1〜2日(できれば当日)

2日を過ぎそうなときに、どうするか

一人暮らしだと、予定が変わるのは当たり前です。
急に飲みに誘われた、疲れて作る気力がない、仕事が長引いた。
そのたびに肉を捨てていたら、お金がもちません。

対処は3つあります。

1. 解凍した日のうちに、全部火を通しておく

一番確実です。味つけをしなくてもかまいません。
塩をふって焼くだけでも、生のまま置いておくよりずっと長くもちます。
加熱したあとなら、冷蔵で3〜4日が目安です。

焼いた豚こまは、翌日に野菜炒めにも、うどんにも、卵とじにもできます。
生のまま持たせようとするより、火を通してから考えるほうが楽です。

2. 加熱してから冷凍する

生のまま解凍した肉を、そのまま冷凍室へ戻すのはおすすめしません。
一度火を通してから冷凍すれば、品質も安全性も保ちやすくなります。

生のまま戻せる条件については、豚肉・牛肉の再冷凍は大丈夫?鶏肉との違いを調理師が説明しますにまとめています。

3. そもそも、使いきれる量で冷凍しておく

解凍してから困るのは、1回に解凍する量が多いからです。
はじめから1回分ずつに分けて冷凍してあれば、この問題は起きません。

とはいえ、小分けは面倒です。面倒でも続けられるやり方は、一人暮らしで肉の小分け冷凍が面倒な人へ。調理師が、小分けせずに済ませる3つの方法を紹介しますにまとめました。

それでも、使いきれない日はあります

ここまで書いておいて何ですが、仕事から帰ってきて、冷蔵庫の肉を見て「今日は無理だ」と思う日はあります。私もあります。

そういう日のために、私は解凍のいらない食事を冷凍室にひとつ入れておくようにしました。
肉を使わない日の逃げ道があると、無理に使い切ろうとして体調を崩すことも、慌てて捨てることも減ります。

実際に10食頼んで、冷凍室にどれくらい入るか、1食いくらになるかを測った記事がワタミの宅食ダイレクトは一人暮らしに合う?調理師FPが10食を頼んで、冷凍室と1食の値段を実測しましたです。

よくある質問

チルド室に入れれば、もっともちますか?

普通の棚より低い温度なので、多少は長くもつと考えられます。ただ今回は普通の棚で観察したので、チルド室で何日もつかは確かめていません。確かめていないことを「たぶん大丈夫」とは書けません。

ひとつ言えるのは、チルド室でも菌は増えるということです。
日数を延ばす前提では考えないほうが安全です。

ぬめりは、洗えば落ちますか?

落ちません。
正確には、ぬめりは水で流せても、菌は流せません。

ぬめりは、表面で菌が増えた結果として出てくるものです。
見えるところまで来ているということは、相当な数になっています。
洗ってもその数は減りませんし、洗った水が流しや手に飛んで、かえって広がります。
ぬめりが出たら捨ててください。

茶色くなったら、もう食べられませんか?

色だけでは決まりません。
肉の赤い色は、空気に触れたり時間が経ったりすると自然に変わります。
冷凍焼けでも茶色くなります。

今回の観察でも、5日たって茶色い部分が半分近くまで広がっても、腐敗臭はしませんでした。
逆に、色がきれいでも2日目にはぬめりが出ていました。
色は、判断の材料としては弱いです。

解凍した肉を、もう一度冷凍できますか?

完全に解けてしまったあとは、生のままでは戻さないでください。
半解凍までなら戻せる場合があります。
詳しくは鶏肉の再冷凍は大丈夫?調理師の答えは「半解凍まで」ですと豚肉・牛肉の再冷凍は大丈夫?で説明しています。

同じことが、鶏肉や牛肉でも言えますか?

今回確かめたのは豚こま切れ肉だけです。
ただ、切った面が多いほど早いという考え方は、どの肉にも当てはまります。
肉のかたまりなら今回より少し長く、ひき肉なら今回より短い、というイメージです。

加熱してから冷凍するときや、味をつけて冷凍するときの日持ちはこちらです。

まとめ

冷蔵庫で解凍した豚こま切れ肉を、5日10時間観察して分かったことです。

  • 2日までに使い切る。
    2日以内でも、ぬめりが出たらその時点で捨てる
  • 5日たっても赤い部分は残った。
    色では判断できない
  • 2日目に、表面のぬめりと油のにおいが出た。
    手とはなのほうが早い
  • ドリップは17時間後が最も多く、そのあと乾いた跡になって消えた。
    ドリップが消えても、良くなったわけではない
  • 腐敗臭は5日10時間たってもしなかった。
    においがしない=安全、ではない

解凍した肉を前にして迷ったら、まず触ってみてください。
ぬめりを感じたり、表面が光って見えたら、そこで食べるのは諦めましょう。

そして触ったあとは、手を洗ってくださいね。

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