一人暮らしに向く鶏肉の解凍方法は? 冷蔵庫6時間・氷水30分・流水15分を調理師FPが実測しました

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こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و

安い日に鶏むね肉をまとめて買って、1食分ずつ小分けにして冷凍する。
一人暮らしの自炊では、よく勧められる方法です。
私もやっています。
塩麹と味噌で下味までつけてあります。

前の夜に冷蔵庫へ移しておけばいいのですが、忘れていて鶏肉は凍ったまま。
仕方なく電子レンジに入れる。
火が通ったように見えても、中は生焼け…。
さらに加熱すると、火が通っても硬くて美味しく無い鶏肉になってしまったなんて日も。
せっかく仕込んだ鶏肉ですが、美味しく食べられないなんて日も。

そこで、同じ日に冷凍した同じ鶏むね肉を使って、4つの解凍方法を実際に試しました。
冷蔵庫、氷水、流水、電子レンジです。

数字と写真で、順に見ていきます。

1食分ずつ小分けにして冷凍した下味つきの鶏むね肉の袋
冷凍庫にある1食分の袋。味噌と塩麹で下味をつけて冷凍してあります
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目次

試した条件

項目 内容
鶏むね肉。4〜5cmの角切り
下味 味噌と塩麹
1袋の量 約180g(1食分)
凍り方 袋の中で角切りが重なって、塊になっている
条件 同じ部位・同じ下味・同じ日に冷凍

食分ずつ袋を分けていても、袋の中で肉が重なっていれば、その1食分がひとつの塊になります。
小分けにしているから大丈夫、とはなりません。

結果

方法 かかった時間 状態 肉汁
冷蔵庫 6時間 半解凍。包丁はスッと入る なし
氷水 30分 完全に解凍。精肉店の状態 なし
流水 15分 完全に解凍。精肉店の状態 なし
冷蔵庫 12時間 完全に解凍。柔らかい 出た
電子レンジ
650W・5分
5分 外は火が通り、中は生 大量に出た

失敗したのは電子レンジだけでした。
しかもその原因は、解凍のしかたではなく熱の入れすぎです。
あとで計算します。

冷蔵庫6時間は「半解凍」。これは失敗ではありません

前の夜ではなく、朝に冷蔵庫へ移して6時間。
触ってみると、まだ芯が残っています。

冷蔵庫で6時間解凍した鶏むね肉を皿に出した状態
冷蔵庫で6時間。まだ芯が残っています

半解凍くらいの硬さで、包丁でスッと切れますが、生肉のような柔らかさにはなっていませんでした。

冷蔵庫解凍した鶏むね肉を切った断面
半解凍。包丁はスッと入りますが、生肉の柔らかさではありません

ここで「6時間かけたのに解けていない、失敗だ」と考えるのは、間違いです。
調理師の目で見ると、半解凍はむしろ扱いやすい状態です。

  • 包丁が入りやすい。薄切りにする、細かく切る、といった作業がしやすい
  • 完全に解けていないので、肉汁が流れ出る前の状態
  • そのまま炒めても煮ても問題なく使える

完全に解凍してしまうと、柔らかくなりすぎて切りにくくなります。
解凍後に切る予定があるなら、半解凍で止めるほうが仕事は速いです。

半解凍については、こちらでも詳しく書いています。
鶏肉2kgを解凍して再冷凍しても大丈夫?調理師が安全な方法を正直に解説

つまり冷蔵庫解凍は、時間はかかるが、いちばん良い状態で止められる方法です。
前の日から段取りができる人には、これが向いています。

では、12時間置いたらどうなるか

6時間で半解凍なら、倍の時間を置けばちょうどよくなるのでは。
そう思って、12時間でも試しました。

冷蔵庫で12時間解凍した鶏むね肉。皿の底に肉汁が溜まっている
冷蔵庫で12時間。完全に解凍できましたが、皿の底に肉汁が溜まりました

完全に解凍できています。
ただし皿の底に肉汁が溜まりました
6時間のときは、ドリップはありませんでした。

ここが分かれ目です。
冷蔵庫解凍は6時間なら肉汁が出ず、12時間置くと出ました
前の夜に入れて翌日の夜まで、という段取りは置きすぎになります。

流水15分。いちばん速く、仕上がりも良い

袋の口を結んだまま、ボウルに入れて細い流水を当てます。

袋の口を閉じたまま流水を当てて解凍している鶏むね肉
袋を結んだまま、細い流水を当てます
袋を開けて肉に直接水をかけないでください
農林水産省は「肉を洗ったときの水がはねると、一緒に飛び散った食中毒菌によってキッチンや周りの食材が汚染される可能性があります」と注意しています。
シンクに洗い物や食器が置いてあれば、そこにも飛びます。袋は結んだまま水に当ててください。写真のように、袋の口が閉じている状態です。

15分で袋から出しました。

流水で15分解凍した鶏むね肉を皿に出した状態
流水15分。精肉店で売っている状態と同じ柔らかさでした

精肉として売っている時と同じ柔らかさです。
大きな塊だけ半生の状態でしたが、包丁で切れますし、料理するには問題がないと思います。

流水解凍した鶏むね肉を切った断面
断面。大きな塊だけ半生でしたが、料理には問題ありません

切ってみても、中心まで色が均一です。
そして皿に肉汁が溜まっていません。
流水解凍は「水っぽくなる」「味が抜ける」と言われがちですが、少なくとも今回はそうなりませんでした。

「大きな塊だけ半生」というのは、角切りの大きさにばらつきがあったからです。
切る大きさを揃えておけば、この差も出にくくなります。

氷水30分。流水と同じ結果に、倍の時間

ボウルに氷と水を張り、袋のまま沈めます。

氷水を張ったボウルに袋のまま沈めた鶏むね肉
氷水に、袋を結んだまま沈めます
氷水で30分解凍した鶏むね肉を皿に出した状態
氷水30分。完全に解凍できました
氷水解凍した鶏むね肉を切った断面
断面。中心まで均一で、皿に汁は出ていません

30分で、流水と同じ状態になりました。
溶けていて、精肉店で売っているような状態。肉汁も出ていません。
仕上がりに差は見つけられませんでした。
かかった時間だけが倍です

では氷水を選ぶ理由はないのかというと、2つあります。

  • 水を出しっぱなしにしない。
    最初に氷と水を入れるだけで済みます
  • 肉の表面温度が上がらない。
    夏場の水道水は温度が高くなるので、流水だと表面が温まります

急いでいないなら氷水、急いでいるなら流水。
仕上がりで選ぶ必要はなく、その日の都合で選んでいいということになります。

電子レンジ5分。失敗したのはこれだけです

先に条件を書いておきます。
解凍モードではなく、通常の加熱モードで650W・5分かけました。
急いでいる日に、私が実際にやる押し方です。

電子レンジで解凍する前の凍った鶏むね肉
電子レンジに入れる前。凍った塊のままです

5分後です。

電子レンジで加熱しすぎて外側に火が通った鶏むね肉
650Wで5分。外側は白く火が通り、汁が大量に出ています

外側は完全に火が通っています。
そして周りに白く固まった汁が大量に出ています。

崩してみると、中は赤いままでした。

電子レンジ解凍で外は加熱され中心が生のままの鶏むね肉
崩すと、中は赤いままでした

冷蔵庫も氷水も流水も、皿に汁は出ていませんでした。
同じ肉、同じ下味、同じ日に冷凍したものです。
電子レンジだけが、これだけ出しています。

必要な熱の、約4倍を入れていました

感覚の話にしたくないので、計算します。

項目 計算 熱量
氷を溶かす 135g × 334J/g 約45kJ
−18℃→0℃ 180g × 約2.0J/g・K × 18K 約6kJ
解凍に必要な熱 45 + 6 約52kJ
実際に入れた熱 0.65kW × 300秒 195kJ

鶏むね肉の水分を約75%として計算しています。
52kJで足りるところに、195kJ。およそ4倍です。
余った140kJ以上が、外側を煮ることに使われました。あの白い汁は、その結果です。

そして白い汁は、肉から抜けた水分とたんぱく質です。
鶏むね肉はもともと水分が頼りの部位なので、ここで失うと、そのあとどう料理してもパサつきます。

味だけの問題ではありません

この状態を見て「解凍できた」と判断すると、危ないです。
外側にはもう火が通っているので、炒めればすぐ焼き色がつきます。見た目は完成に近い。
でも中心は赤いままです。

外は火が通りすぎ、中は生焼け。
味の失敗と、安全の失敗が同時に起きています。
食中毒の話は後半に書きます。

肉汁は「やりすぎたとき」だけ出ました

5つの結果を並べると、はっきりした線が見えました。

肉汁が出なかったのは、冷蔵庫6時間・氷水30分・流水15分の3つです。
どれも皿は乾いたままでした。出たのは、電子レンジ5分と冷蔵庫12時間の2つだけ。

つまり解凍方法の違いではなく、やりすぎたかどうかで分かれていました
電子レンジは熱の入れすぎ、冷蔵庫12時間は時間の置きすぎです。

レシピの記事では「ゆっくり解凍するとドリップが少ない」「急ぐと水っぽくなる」と書かれます。
今回はそうなりませんでした。
15分の流水では汁が出ず、12時間かけた冷蔵庫では出ています。
速さの問題ではありませんでした

理由はおそらく下味です。
塩を含んだ調味料に漬けた肉は、水を抱え込みます。
味噌と塩麹の塩分が、解凍中も水分をつなぎ止めていたと考えるのが自然です。

もうひとつ、凍らせ方の話もあります。
食品には最大氷結晶生成帯という温度帯があり、高知県工業技術センターの資料では「食品内部に大きな氷結晶ができてしまう温度帯(一般的には−1〜−5℃)」と説明されています。
ここをゆっくり通ると氷の粒が大きく育ち、組織を壊します。
壊れた組織からは、解凍したときに汁が出ます。

つまり肉汁が出るかどうかは、解凍のときではなく冷凍のときにかなり決まっているということです。
今回はそこで失敗していなかった、と考えることもできます。

正直に書いておきます
下味をつけていない鶏むね肉で同じことが起きるかは、今回は確かめていません。比較する肉を用意していないからです。
ここに書けるのは「味噌と塩麹で下味をつけた鶏むね肉では、どの解凍方法でも肉汁が出なかった」というところまでです。

そのうえで言えることがあります。
下味冷凍は、味をつけるためと時短のためにやる工夫です。
それが結果として、解凍の失敗を防ぐ保険にもなっていました。
買った日に5分かけて下味をつけておく価値は、思っていたより大きいかもしれません。

一人暮らしは、どれを選べばいいか

4つ試して分かったのは、正解が1つではないということでした。
解凍したあと何をするかと、その日に何時に帰れるかで変わります。

その日の状況 選ぶ方法 理由
前の日から段取りできる
解凍後に切る予定がある
冷蔵庫 半解凍で止まるので切りやすい
帰ってきてから作る
すぐ火にかけたい
流水15分 いちばん速く、仕上がりも良い
30分は待てる
水を出しっぱなしにしたくない
氷水30分 流水と同じ結果になる
とにかく時間がない 加熱モードで押し切らない 外は加熱、中は生になる

仕事をしている一人暮らしで難しいのは、何時に帰れるか読めないことです。
前の夜に冷蔵庫へ移しておく段取りは、残業になった時点で崩れます。

でも今回の結果を知っていれば、崩れても困りません。
冷蔵庫に入れ忘れた日でも、流水15分で追いつけます。
お勧めしないのは、電子レンジの加熱モードで押し切ろうとしたときだけです。

鶏肉の食中毒は思っているより怖いです!

味の話をしてきましたが、鶏肉にはもっと優先すべきことがあります。
カンピロバクターです。

症状は下痢、腹痛、発熱。食品安全委員会の資料では、下痢は「1日に数回から10回以上の激しい場合も」とされています。
数日は動けません。
一人暮らしだと、その数日をひとりで越えることになります。
水を買いに行くのも自分です。
予防のほうが、はるかに安く済みます。

中心75℃以上で1分以上、これだけです

農林水産省は「お肉の中心部までよく加熱(中心の温度が75℃以上で1分間以上)」としています。
カンピロバクターは加熱で死にます。
ここさえ守れば防げます。

危ないのは、解凍が不十分なまま焼いたときです。
中心が凍ったまま火にかけると、外側が焦げても中心に届きません。
解凍の失敗が、そのまま加熱不足につながります。
とくに電子レンジでムラが出た日は注意してください。

症状が出るのは2〜7日後。だから鶏肉だと気づけません

食品安全委員会によると、潜伏期間は2〜7日、平均2〜3日です。

月曜に食べた鶏肉で木曜に当たっても、人はまず鶏肉を疑いません。
「風邪かな」で終わります。
しかも一人暮らしだと、何を食べたか聞いてくれる人もいません。
原因が分からないまま、同じことを繰り返すことになります。

発症に必要な菌の量は「数100個程度の少ない菌量」とされています。
少し火が甘かった、では済まないことがあります。

冷蔵庫に長く置くほど安全、ではありません

食品安全委員会は、カンピロバクターについて「冷蔵庫温度の1〜10℃で生存期間が延長」されるとしています。
低温は菌を止めますが、殺しはしません。

今回、冷蔵庫12時間では肉汁が出ました。
味の面でも安全の面でも、長く置くことに得はありません。
解けたら使う。
それが安全でもあります

解凍が終わっても、夕食はまだできていません

ここまで、解凍の話をしてきました。
流水なら15分で終わる、と書きました。

ただ、解凍が終わった時点では、まだ何も食べられません。
そこから切って、焼いて、味を見て、皿に出して、最後に洗い物をします。
解凍は入口にすぎません。

しかも、この記事で使った鶏肉は買った日に下味をつけて小分けにしたものです。
その仕込みの時間も別にかかっています。手間が消えたのではなく、前の週末に前倒ししただけです。

1食分にかかる時間を、並べてみます。

やること時間の目安
買った日の仕込み
(切る・下味・小分け・冷凍)
1回20〜30分
※数食分まとめて
解凍(流水)15分(実測)
焼く・味を見る・盛る10〜15分
洗い物5〜10分
帰宅してからの合計30〜40分

解凍の15分だけを見れば短いのですが、帰ってから食べ終わるまでで見ると30〜40分です。
仕込みの日を入れれば、もっと増えます。

そしてここが、一人暮らしにとって効いてくる部分です。
この手間は、一人分でもほとんど減りません。
フライパンを出す、火をつける、味を見る、洗う。
4人分作るのと、かかる時間はほぼ同じです。
量だけが少ない。

家族なら30分の労力が4人分になりますが、一人暮らしでは1人分にしかなりません。
「自炊は安い」という計算には、この時間が入っていません。

解凍も調理もいらない選択肢

冷凍の宅配弁当は、凍ったまま電子レンジに入れるだけです。
解凍という工程がありません。
切る作業も、フライパンも、味を見る手間もない。
容器ごと捨てられるものなら、洗い物も出ません。

30〜40分が、5分になります。

もちろん値段は上がります。
安い鶏むね肉を仕込んで食べるほうが、材料費だけを見れば安い。
ただ、そのぶんの時間を毎日払っているということは、計算に入れておいたほうがいいと思っています。

毎日これにする必要はありません。
仕込みができた週は自炊、できなかった週は宅食。
そうやって使い分けるほうが、一人暮らしの現実に合っています。
「今日は無理だ」という日に、鶏肉を捨てて弁当を買うより安く済みます。

仕込みができなかった週の、逃げ道として

ワタミの宅食ダイレクトは、凍ったままレンジに入れて完成します。解凍も調理も洗い物もありません。「いつでも三菜」は厚さ2.6cmと薄いので、冷凍室の場所も取りません。定期に進む場合もお届けは7日・14日・28日間隔から選べて、手数料と解約金は0円、おやすみと変更もできます。まずは1回だけのお試し割から確かめられます。

ワタミの宅食ダイレクトを見てみる
冷凍弁当の容器の大きさと、冷凍室にどれだけ入るかは、こちらで実寸から比べています。
一人暮らしの冷凍室、公称60Lでも実際は41Lです。まとめ買いが入らない理由を調理師FPが数字で確かめました

まとめ

  • 鶏むね肉180g、袋の中で塊になった状態での実測。
    冷蔵庫6時間で半解凍、氷水30分と流水15分で完全に解凍
  • 半解凍は失敗ではない。
    切る予定があるなら、むしろ扱いやすい
  • 氷水と流水は仕上がりが同じ。
    時間だけが倍違う
  • 肉汁が出たのは、電子レンジと冷蔵庫12時間だけ
    方法の違いではなく、熱と時間のやりすぎで出る
  • 冷蔵庫解凍は6時間なら出ず、12時間で出た
  • 電子レンジの加熱モード5分は、解凍に必要な熱の約4倍
    外は火が通り中は生になる
  • 流水解凍は袋を結んだまま
    肉を直接洗わない
  • 鶏肉は中心75℃・1分以上。
    潜伏期間は2〜7日なので、あとから原因に気づけない

一人暮らしの自炊が続かない理由を、料理の腕のせいにしなくていいと思っています。

解凍の選び方を知っていれば、おいしく作れます。
忙しい日や疲れた日は、宅食と組み合わせる。
無理せず、自分のできる範囲の自炊を続けていきましょう。

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※解凍時間と状態は、筆者の自宅で鶏むね肉180g(味噌・塩麹の下味あり、4〜5cm角切り、袋の中で塊になった状態)を用いて実測したものです。冷蔵庫解凍は6時間と12時間の2回試しています。冷蔵庫や電子レンジの機種、肉の大きさ、下味の有無によって変わります。加熱の基準と二次汚染の注意は農林水産省、潜伏期間・症状・発症菌量・低温での生存は食品安全委員会のファクトシート、最大氷結晶生成帯は高知県工業技術センターの資料によります。熱量の計算は鶏むね肉の水分を約75%として求めた概算です。

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