刺身は冷凍できる?調理師の答えは「漬けてから」です

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こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و

スーパーの刺身は、たいていその日のうちに食べる前提で売られています。
消費期限は当日。
閉店前などでは、半額になったりしていくつか買ってしまうこともあるのではないでしょうか?

自分はそのお刺身が食べきれず残りそうなとき、冷凍して保存できないか考えたりしました。

肉なら冷凍します。
でも刺身は、生で食べるものです。
冷凍したら生で食べられるのか。
味はどうなるのか。

なので、やってみました。
刺身のはまちを素のままとめんつゆに漬けての2つに分けて冷凍し、5日後に解凍してみました。

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目次

結論 冷凍後は生で食べない、できれば漬けてから冷凍してください

先に結論です。

  • 刺身自体は冷凍できます
  • ただし素のままだと、2割以上が水になって流れ出ました
  • めんつゆに漬けてから冷凍すると、ほとんど出ませんでした
  • 解凍したあとは、生では食べずに加熱してください
素のまま冷凍した刺身は10.5gのドリップが出たが、めんつゆ漬けは0.3gしか増えなかったことを示す図
同じはまちを、同じ日に、同じ冷凍庫で5日間。違いはめんつゆ2.1gだけです。

違いは、めんつゆ2.1gだけでした。
小さじ1杯にもなりません。

その前に 生のままでは食べていません

一番にお伝えしておきます。
今回の刺身は、解凍後に生では食べていません。
両方とも加熱しました。

理由はアニサキスです。

農林水産省は、アニサキスについてこう示しています。

  • 冷凍なら −20℃で24時間以上
  • 加熱なら 中心温度60℃で1分以上

千葉県も同じ条件を示したうえで、70℃以上の加熱を挙げています。

そして、ここが大事なところです。

農林水産省は「酢や塩、しょうゆ、わさびなどの調味料では、アニサキス幼虫は死にません!」とはっきり書いています。
漬けにしても、死にません。

家庭の冷凍庫では、条件を満たせているか分かりません

家庭用の冷凍室は、−18℃前後に設定されているものが一般的です。

「−20℃で24時間以上」という条件に、届いていない可能性があります。
庫内に温度計を入れていなければ、何℃だったのかも分かりません。

確かめようがない以上、加熱する。
これが私の判断です。

なお、今回使ったのは天然のはまちです。
農林水産省と千葉県が例として挙げている魚(サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなど)に、ブリやハマチは入っていません。
ただし、どちらも「など」で終わっています。
その魚だけという意味ではありません。

市販の「生食用冷凍魚介類」とは別物です

スーパーで売られている冷凍の刺身は、−20℃以下で管理されたものです。
家庭の冷凍室でつくったものとは、条件がまったく違います。同じようには扱えません。

今回の条件

三重産の天然はまち刺身のパック。消費期限は加工日と同じ日
三重産の天然はまち。加工年月日も消費期限も10月16日、その日限りでした。税込430円。
内容
魚三重産 天然はまち(刺身用)
値段税込430円
消費期限加工日と同じ日(当日)
冷凍した日消費期限の当日
冷凍期間5日間
解凍冷蔵庫

買った日のうちに冷凍しています。
刺身は当日が前提の食品なので、「明日冷凍しよう」では遅いです。

3切れずつ、2つに分けました

はまちの刺身3切れをラップの上に並べたところ
素のまま冷凍するほう。3切れを重ならないように並べました。
はまちの刺身3切れをラップで包んだところ
ぴったり包みます。空気が入らないようにします。

もう片方は、ポリ袋に入れてめんつゆをかけました。

量は、あとから計算したら2.1gでした。小さじ1杯が約5gですから、その半分以下です。
かなり控えめです。

重さを量っておきます

ラップで包んだはまちをはかりにのせた様子。46.4gと表示されている
素のまま(ラップ込み)46.4g。ラップは0.5gだったので、身は45.9gです。
めんつゆに漬けたはまちを袋ごとはかりにのせた様子。47.4gと表示されている
漬けのほう(袋込み)47.4g。袋2.0g、身43.3gだったので、めんつゆは2.1gです。

冷凍する前に量っておくのが大事です。
これがないと、あとで何g減ったかが出せません。

5日後、冷凍庫から出しました

5日間冷凍した素のままのはまちとめんつゆ漬けのはまち
左が素のまま、右がめんつゆ漬け。2.1gでも、色はしっかり付いています。

ここで気づいたことが2つあります。

素のままは、白っぽくなっていました

買ったときのはまちは、血合いの赤がはっきりしていました。
凍らせると全体が白っぽくなり、新しいのか古いのか分かりません。

肉の記事でも書きましたが、凍っている間の色は、判断の材料になりません。

袋の空気が抜けていませんでした

右の袋、上のほうに空気が残っています。
これは失敗です。

空気が多いと冷凍焼けしやすくなります。
今回は5日だったので影響は出ませんでしたが、長く置くなら抜くべきでした。

冷蔵庫で解凍 1時間では足りません

2つを同時に冷蔵庫へ入れ、30分おきに見ました。

冷蔵庫で30分解凍した素のままのはまちとめんつゆ漬け
30分後。まだ凍っています。素のままは白いままです。
冷蔵庫で1時間解凍した素のままのはまちとめんつゆ漬け
1時間後。赤みが出てきましたが、触るとまだ固い状態でした。
冷蔵庫で1時間半解凍した素のままのはまちとめんつゆ漬け
1時間半後。ここで解凍完了。赤みが戻っています。

1時間ではまだ固かったです。
薄い切り身なのでもっと早いと思っていましたが、1時間半かかりました。

白かった色が、戻りました

3枚を順に見てください。
凍っているときに白っぽかった身が、解けるにつれて赤みを取り戻しています。

白く見えたのは、劣化ではありませんでした。
「冷凍したら白くなった、傷んだのでは」と心配する必要はありません。

常温に出したり、流水をかけたりはしていません。刺身は温度が上がると一気に傷みます。
急ぐより、冷蔵庫で待つほうが確実です。

出た水の量が、はっきり違いました

解凍後、ラップと袋に残ったものを量りました。

素のままめんつゆ漬け
冷凍前の身45.9g43.3g
入れた調味料なしめんつゆ 2.1g
解凍後に残った液10.5g2.4g(うち2.1gは元のつゆ)
増減−10.5g(22.9%)+0.3g

素のままのほうは、45.9gのうち10.5gが流れ出ました。3切れで45.9gですから、1切れ約15g。
1切れの3分の2ほどが水になって出ていった計算です。

一方、漬けのほうはほとんど出ていません。
入れたつゆより0.3g増えただけでした。

この数字は計算で出したものです

解凍後の身そのものは量っていません。「冷凍前の重さ − 残った液」で計算しています。
身の表面に付いたままの水分は数に入っていませんし、1回だけの結果です。目安として見てください。

食べ比べました

素のまま 片栗粉をまぶしてムニエル風に

袋の中で片栗粉をまぶしているはまちの切り身
袋に入れて片栗粉をまぶします。洗い物が増えません。
片栗粉をまぶしたはまちをフライパンに並べたところ
フライパンへ。
焼き上がった片栗粉つきのはまち
焼き上がり。少し焦げ目が付きました。

2割以上の水が出ていたので、パサつくだろうと思っていました。

ところが、パサついていませんでした。
身もちゃんと締まっています。

これは片栗粉のおかげです。
粉をまぶして焼くと、残った水分が逃げにくくなります。
出てしまった水は戻せませんが、焼き方で取り返せるということです。

めんつゆ漬け そのまま焼くだけ

めんつゆに漬けたはまちをフライパンに並べたところ
漬けのほうは、そのままフライパンへ。味が付いているので何も足しません。
焼き上がっためんつゆ漬けのはまち
焼き上がり。照りが出ます。

こちらは中まで味が染みていました。
2.1gで足りていたわけです。

そして、食べ比べてはっきり違ったのが、においです。

漬けのほうが、魚臭さが少ない。
味の好みではなく、臭みの量が違いました。

なぜ、漬けると水が出ないのか

はっきりした理由は分かりません。
ただ、考えられることはあります。

薄い塩分には、たんぱく質の保水性を高める働きがあります。
めんつゆの塩分が、水を身の中に留めたのだと思います。

下味をつけて冷凍する話は、下味冷凍は何日もつ?調理師の答えは「2〜3週間、解凍したら翌日まで」ですで詳しく書いています。
考え方は同じです。

魚臭さが減ったのも、つながっていそうです

生臭さのもとは、流れ出る水分のほうに多く含まれています。

水が出ない=臭みも出にくい。
数字と、食べたときの印象が一致しました。
偶然ではないと思います。
においの見分け方は解凍した肉のにおいが気になる?食べて大丈夫か調理師が答えますにまとめています。

ただし、これも1回だけの結果です。
何度もやれば違う数字が出るかもしれません。

予想が2つ外れました

正直に書いておきます。

「2.1gでは、表面だけで中まで入らない」→ 外れ

下味冷凍でよく使う分量は、もっと多いです。
2.1gでは足りないと思っていましたが、中までしっかり染みていました。

凍る前と解ける間に、時間をかけて入っていったのだと思います。

「漬けは、味をごまかすだけ」→ 外れ

漬けにすると味が濃くなるので、劣化をごまかせる。
そういう意味だと思っていました。

実際は、ごまかしではなく、劣化そのものを減らしていました。
これは予想外でした。

よくある質問

どのくらいもちますか

今回は5日で食べました。それ以上は試していないので分かりません。

ただ、魚の脂は酸化しやすいです。肉より早いと考えたほうがいいと思います。
2週間くらいを目安に食べるのが現実的です。

サーモンやマグロでも同じですか

試していないので分かりません。
ただ、水が出るのは魚の種類に関係なく起こります。
漬けにする意味は同じようにあると思います。

めんつゆ以外でもいいですか

塩分があるものなら、同じように働くはずです。
しょうゆとみりん、白だし、味噌など。

量は少なくて大丈夫です。
今回は2.1gで中まで入りました。

半額の刺身でもできますか

できます。
ただしその日のうちに冷凍してください。

半額になっているのは、消費期限が近いからです。
買って帰って、冷蔵庫に入れて、翌日冷凍では遅すぎます。

解凍したものを、もう一度冷凍できますか

しないでください。
品質が落ちますし、安全の面でもすすめられません。
肉の場合については鶏肉の再冷凍は大丈夫?調理師の答えは「半解凍まで」ですで説明しています。

まとめ

スーパーの刺身を冷凍して、5日後に食べた記録でした。

  • 刺身は冷凍できる。ただし買った日のうちに
  • 素のままだと2割以上が水になって出た(45.9g中10.5g)
  • めんつゆ2.1gで漬けると、ほとんど出なかった
  • 漬けのほうが魚臭さが少なく、中まで味が入っていた
  • 素のままでも、片栗粉をまぶして焼けばパサつかない
  • 解凍後は生で食べず、加熱する

一人暮らしだと、刺身1パックは多すぎます。
かといって、その日に全部食べるのも重い。

半分を漬けて冷凍しておく。これだけで、数日後にもう一品できます。
手間はめんつゆをかけるだけです。

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