こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و
「ひき肉の再冷凍」で調べている方には、じつは3つのまったく違う場面が混ざっています。
答えも場面ごとに変わるので、まずそこを分けさせてください。
先に大事なことを1つ。
冷蔵の生ひき肉を買って、その日に小分けして冷凍するのは「再冷凍」ではありません。
何も問題のない、いちばん正しいやり方です。
ここを心配して調べている方は、そのまま小分けにし冷凍をしていただいて大丈夫です。
問題になるのは、一度凍らせたものを解凍して、また凍らせたいときです。
この記事ではその境目を、調理師としての判断基準で書きます。
まず、あなたの「再冷凍」はどれですか
| 場面 | これは再冷凍? | 答え |
|---|---|---|
| ① 冷蔵の生ひき肉を買って、その日に小分け冷凍する | いいえ。 ただの冷凍です | 問題ありません。むしろこれが正解です |
| ② 冷凍しておいたひき肉を解凍したが、使わなかった | はい | 中心が凍っていれば戻せます。完全に解けたら、火を通してから冷凍します |
| ③ パックに「解凍」と書かれたひき肉を買って、家で冷凍する | はい(実は) | 買ったその日なら冷凍できます。ただし味は落ちます |
多くの方は①だと思います。
①なら、この先を読まなくても大丈夫です。
買った日に冷凍するやり方だけ、あとで書いておきます。
②と③に当てはまる方は、このまま読み進めてください。
一人暮らしは、ほぼ毎回この状況になります
ひき肉の再冷凍で困るのは、一人暮らしだけではありません。
家族でも1kgを買って小分けにすれば、同じ話になります。
スーパーでよく見かけるひき肉のパックは200〜400g。
一人分の1食で使うのは100〜150gです。
つまり、一人暮らしだと、ふつうに買うと買った時点で、何回分かがあまることが決まっています。
業務スーパーの1kgなら、7回分です。

実際に、お肉屋さんで国産豚ミンチを買ったときのものです。
411gで税込478円。100gずつに分けると4回分、1回分はおよそ120円です。
今日1回使えば、残りの3回分は冷凍するしかありません。
しかも、その日に食べきろうとして量を増やす、という逃げ方ができません。
家族なら「今日は多めに作ろう」で片づくところが、一人だとそのまま残ります。
作れなかった日の肉を、代わりに使ってくれる人もいません。
「明日でいいか」が効かないので、その日のうちに決める必要があります。
だから一人暮らしでは、小分けにして凍らせる手順を先に決めておくほうが早いのです。
以下、場面ごとに書きます。
① 冷蔵の生ひき肉を買って冷凍する ― これは再冷凍ではありません
スーパーで売られている国産のひき肉は、ほとんどが冷凍されたことのない生肉です。
これを家で凍らせるのは、1回目の冷凍です。
むしろ、ひき肉は買った日に冷凍するのがいちばん安全です。
冷蔵での日持ちは当日から翌日までしかありません。
「明日使うかも」と冷蔵庫に入れておくと、使えなくなる可能性のほうが高くなります。
薄く平らにして、金属のトレーにのせる
私は100gずつポリ袋に入れて、空気を抜いて口を結び、上から手で押して薄く平らにのばしています。
厚みは1〜1.5cmが目安です。ラップで包んでもかまいません。

それを金属のバットにのせて冷凍室に入れます。
アルミやステンレスは熱を早く奪うので、プラスチックの皿にのせるより早く凍ります。

411gを100gずつ、4袋に分けたところです。1袋ずつ、1食分として使い切れる量にしてあります。
味が落ちるのは、−1℃から−5℃の温度帯をゆっくり通過するあいだに氷の結晶が大きく育って、細胞を壊すからです。
この帯を最大氷結晶生成帯といいます。
薄くして金属に触れさせると、ここを速く通り抜けるのでドリップ(肉汁)が減ります。
もうひとつ、一人暮らしには薄くする理由があります。
冷凍室が小さいことです。
一人暮らし向けの冷蔵庫は、公称60Lと書かれていても実際に詰められるのは4割ほどでした。
ぶ厚い塊のまま入れると、それだけで引き出しの場所をとります。
平らに凍らせてから立てて並べると、4袋が引き出しの端にまとまりました。

凍ったあとは本のように立てて並べておくと、どれが何日に凍らせたものか見やすく、使うときも1袋だけ抜き出せます。
▶ 一人暮らしの冷凍室、公称60Lでも実際は41Lです
薄くしておくと解凍も速くなります。
ぶ厚い塊のまま凍らせると、外が解けても中が凍ったままで、加熱ムラの原因になります。
小分けは「半分」ではなく「1食分」で
一人暮らしなら1袋100〜150gが使いやすい単位です。
そぼろなら100g、ハンバーグなら150g。
私は炒めものにもそぼろにも回せるよう、100gでそろえています。
300gパックを半分に分けるのではなく、使う料理を思い浮かべてから分けてください。
「半分」で分けると、結局どちらも中途半端に余ります。
冷凍したひき肉のもちは3週間から1か月です。
② 冷凍したひき肉を解凍して、使わなかった ― ここが本題です
ここからが、本当の意味での再冷凍です。
答えは肉の状態で変わります。
| 解凍の状態 | どうするか |
|---|---|
| 冷蔵庫で解凍中で、中心がまだ凍っている | そのまま冷凍室に戻してかまいません。ただし、その日のうちに使うほうが安心です |
| 完全に解けた(冷蔵庫の中・ドリップは少ない) | 生のまま戻さないでください。火を通してから冷凍します |
| 常温に置いた/ドリップが多い/ぬめり・におい | 戻さず、加熱もせず、処分してください |
鶏肉や豚肉のかたまり・スライスなら、真ん中の「完全に解けた」でも生のまま戻せます。味は落ちますが、安全面ではまだ余裕があります。ひき肉だけ、ここで線が引かれます。理由はこのあと説明します。
③ パックに「解凍」と書かれたひき肉を買った場合
見落とされがちですが、パックに「解凍」と表示されているものは、店に並ぶ前に一度凍らせて解かした肉です。
これを家で凍らせると、2回目の冷凍になります。
輸入の肉を使ったものや、冷凍のブロック肉をミンチにしたものに、この表示がつきます。
値札の近くか、パックのラベルに小さく書かれています。
先ほどの私が買ったパックのラベルには、「国産豚ミンチ」「保存温度4℃以下」とあるだけで、「解凍」の文字はありません。
冷凍されたことのない生肉です。
こういうパックを家で凍らせるのは、①の1回目の冷凍にあたります。
買ったその日であれば、冷凍して問題ありません。
ただし、すでに1回分のドリップが出ているので、味は確実に落ちます。
そぼろやミートソースのように、味をつけて煮込む料理に回すと気になりません。
逆に、ハンバーグのように肉そのものの食感を楽しむ料理には向きません。
その日のうちに使ってしまうのが正解です。
なぜひき肉だけ、線が手前にあるのか

ミンチにするとき、表面の菌が中まで混ざります
かたまりの肉には、もともと中に菌はほとんどいません。
菌がつくのは切った面、つまり表面だけです。
ステーキが表面だけ焼けば食べられるのは、このためです。
ところが、ひき肉はお店でかたまり肉を機械(ミンサー)にかけて細かくしたものです。
このとき、表面にいた菌も一緒に細かく刻まれて、肉全体に混ぜ込まれます。
外側も内側もなくなるので、中心まで火を通さないと届きません
。厚生労働省も、ひき肉や成形肉は中心部を75℃で1分以上加熱するよう求めています。
同じ豚肉でも、ブロック・スライス・ひき肉の順に傷みが早くなるのは、この構造の違いです。
表面積が何十倍にもなるので、菌がつける足場もその分だけ広がります。
冷凍しても、菌は死にません
ここは誤解されやすいところです。
冷凍は、菌を殺す方法ではありません。
増えるのを止めておくだけです。
解けたところから、また同じ勢いで増え始めます。
だから「一度解けたひき肉を凍らせ直す」というのは、菌を増やしてから止める、を繰り返すことになります。
加えて、解凍のたびにドリップが出ます。
ドリップにはうまみと水分が含まれているので、抜けるほどパサつきます。
味も安全も、解凍のたびに目減りします。
解けてしまったときの、いちばん確実な戻し方
完全に解けたひき肉は、火を通してから冷凍します。
一度しっかり加熱すれば菌は減りますし、加熱済みのものを凍らせるほうが、生で凍らせるより味の落ち方も小さくなります。
一人暮らしで作りやすい3つを挙げます。
どれも、余ったひき肉をその日のうちに片づけるためのものです。
① そぼろにする ― いちばんつぶしが効くのでおすすめ!
フライパンでひき肉を炒め、醤油・砂糖・酒を各大さじ2、すりおろした生姜を少し。
汁気が飛ぶまで煮詰めます。
しっかり煮詰めるほど日持ちします。
冷めてから小分けにして冷凍すれば3週間ほど。
ごはんにのせる、卵と一緒に丼にする、野菜炒めに足す。
一人暮らしだと、これがいちばん出番があります。
② ミートソースにする ― 多めに余ったとき
玉ねぎと一緒に炒めて、トマト缶と塩で煮る。
300g以上余ったときはこちらです。
冷凍で1か月ほどもちます。
パスタだけでなく、ごはんにかけてドリア作りにも。
③ ハンバーグは、タネのままではなく焼いてから冷凍します
ここは間違えやすいところです。
ハンバーグのタネは、こねただけの生肉です。
解けたひき肉をタネにして生のまま冷凍すると、結局「解けたひき肉を生で再冷凍した」のと同じことになります。
焼いてから冷凍してください。
中心まで火を通して、粗熱を取ってから1個ずつ包みます。
食べるときはレンジで温めるだけなので、忙しい日にはむしろ便利です。
これは捨ててください
もったいないと思っても、次のものは処分してください。
ひき肉は、かたまり肉より判断を早めに倒したほうが安全です。
- においが変わっている ― 酸っぱい、ツンとする、アンモニアのようなにおい
- 表面がぬめる、糸を引く ― 洗っても戻りません
- 全体が茶色〜灰色に変わっている ― 表面だけ黒っぽいのは酸素に触れただけなので問題ありませんが、中まで色が変わっているものは別です
- 常温に2時間以上置いた ― 見た目に問題がなくても戻さないでください
今回のひき肉なら、1袋およそ120円です。
それを惜しんで体調を崩すほうが、家計にはずっと大きな損になります。
鶏肉や豚肉のかたまりは、どこまで戻せるのか
ひき肉が特別なだけで、ほかの肉はもう少し余裕があります。
鶏肉や豚肉のかたまり・スライスは、半解凍(中心がまだ凍っている状態)までなら、そのまま冷凍室に戻せます。
完全に解けた場合も、冷蔵庫の中で解けたものなら、味は落ちますが生のまま戻すことはできます。
業務スーパーの2kgパックを買って、半解凍で小分けにして冷凍し直す——という使い方ができるのは、この余裕があるからです。
ひき肉には同じことをしないでください。
まとめ 場面ごとに、答えはこうなります
- 冷蔵の生ひき肉を買って冷凍するのは、再冷凍ではありません。そのまま続けてください
- 買った日に、1.5cmの薄さ・1食分ずつ・金属トレーで冷凍する
- 解凍中で中心が凍っているなら、そのまま戻してよい(その日のうちに使う)
- 完全に解けたら、生のまま戻さない。そぼろかミートソースにして冷凍する
- 「解凍」表示のひき肉は、買った日なら冷凍できる。ただし味は落ちる
- ハンバーグのタネは生肉。焼いてから冷凍する
- 常温に置いた、ぬめる、においが変わったものは処分する
ひき肉は安くて使いやすい反面、一人暮らしでいちばん余らせやすく、いちばん傷みが早い肉でもあります。
買った日に小分けにするところまでをワンセットにしてしまうと、この記事の悩み自体が起きなくなります。
▶ 一人暮らしで食材を使い切れない原因は、買いすぎではなく「使う順番」でした
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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