スーパーの「解凍」表示とは?肉と魚でルールが違います

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こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و

スーパーで肉や魚を買うとき、パックの隅に小さく「解凍」と書いてあることがあります。

料理が趣味の方や自炊を始めた方はラベルの表示が気になる方もいると思います。
安いから解凍なのか。
家で冷凍していいのか。
期限は短いのか。

自分もその一人。
調べてみたら、魚と肉で根拠になる決まりが違うことが分かりました。

この記事では、「解凍」表示が何を意味するのかを、公的な資料をもとに説明します。

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目次

結論 一度凍らせて、溶かして売っているという意味です

先に結論です。

  • 「解凍」=一度凍らせたものを、溶かして売っている
  • 傷んでいるという意味ではありません。安全性の表示ではなく、状態の表示です
  • ただし味と食感は落ちています。凍らせて溶かせば、水分(ドリップ)が出るからです
  • 家で冷凍し直すことはできます。ただし条件があります

そして、この記事で一番お伝えしたいのがこちらです。

魚と肉では、表示のもとになる決まりが違います。

魚の「解凍」表示は食品表示基準という法律で決まっているのに対し、肉は食肉の表示に関する公正競争規約という業界の取り決めであることを比べた図
同じ「解凍」でも、魚と肉ではもとになる決まりが違います。

魚の「解凍」は、法律で決まっています

魚(水産物)の「解凍」表示は、食品表示基準という法律にもとづくものです。

大阪府が出している生鮮食品の表示の解説には、「解凍した旨(水産物に限る。以下同じ。)」と書かれています。
水産物に限る、とはっきり書いてあります。

消費者庁の「食品表示基準Q&A」にも、具体的な例があります。

凍結状態のものを冷蔵ケースで販売するときには、冷蔵ケースに入れた直後は冷凍であったとしても、凍結状態を保つことができないことから、解凍の表示が必要です。

消費者庁「食品表示基準Q&A」第3章 生鮮食品

マグロのサクなどが、凍ったまま冷蔵ケースに並んでいることがあります。
買った時点では凍っていても、「解凍」と表示されます。
冷蔵ケースでは凍った状態を保てないからです。

ちなみに、うなぎの蒲焼きや、マグロとハマチの盛り合わせは加工食品にあたるので、解凍の表示義務はありません。

肉の「解凍」は、業界の取り決めで決まっています

ここが意外でした。魚と違って、肉には法律上の表示義務がありません。

食肉(牛・豚・鶏)の「解凍」表示は、食品表示基準の義務ではありません。

根拠になっているのは、「食肉の表示に関する公正競争規約」です。
これは景品表示法にもとづいて、食肉を売る事業者が作った取り決めです。

その施行規則に、こう書かれています。

冷凍した状態で仕入れた食肉又は小売販売業者が冷凍した食肉にあっては、「冷凍」若しくは「フローズン」又は「解凍品」その他解凍した旨等を表示しなければならない。ただし、凍結品の鶏にあっては「凍結品」、解凍品の鶏にあっては「解凍品」と表示しなければならない。

食肉の表示に関する公正競争規約 施行規則 第7条

法律ではないから守らなくていい、という話ではありません。
業界として守ることになっている決まりです。

ただ、根拠が違うということは知っておいて損はないと思います。

鶏だけ、使う言葉が決まっています

上の条文をもう一度読んでください。鶏だけ特別です。

凍っているとき溶かしてあるとき
牛・豚「冷凍」または「フローズン」「解凍品」など、解凍した旨
鶏「凍結品」「解凍品」

鶏肉のパックで「凍結品」という見慣れない言葉を見たことがあるかもしれません。
あれは決められた言い方だったわけです。

実際に売り場で見てきました

ここまで決まりの話をしてきたので、実物を見てきました。
大阪のスーパーで、肉と魚の売り場を一通り回っています。

スーパーの冷蔵ケースで売られていた生銀鮭のアラのパック。ラベルに「解凍・養殖・加熱用」と書かれている
宮城産の生銀鮭のアラ。ラベルに「解凍」とあります。

「解凍・養殖・加熱用」と書かれています。冷蔵のケースに並んでいましたが、一度凍らせたものを溶かして売っている、という意味です。

スーパーで売られていた若鶏ミンチのパック。ラベルに「解凍品は使用していません」と書かれている
同じ店の若鶏ミンチ。「解凍品」という言葉が使われています。

同じ店の鶏ミンチです。「解凍品は使用していません」とあります。
使われているのは「解凍品」という言葉で、これは先に書いたとおり、鶏肉で決められた言い方です。

牛肉と豚肉のパックには、「解凍」の文字は見当たりませんでした。

同じ店の、同じ「ミンチ」という商品で、鶏にだけ言葉が入っている。
決まりが肉の種類で違うことが、そのまま売り場に出ていました。

ただ、「牛と豚には書かれない」とまでは言えません。

「解凍」とは、どういう状態のことか

食肉の業界団体が出しているハンドブックに、定義があります。

  • 冷凍=肉のかたまりの中心(肉芯)まで凍っていて、その状態が保たれていること
  • 解凍=肉芯まで凍った食肉を、チルドの状態に戻すこと

ポイントは「肉芯まで」です。
表面だけ凍っているものは、ここでいう冷凍には当たりません。

そして、こんな場合も「解凍」表示になります。

  • 凍ったものを半解凍してスライスした商品
  • 解凍した肉と、チルドの肉を混ぜて売る場合

「解凍」と書いていなくても、凍っていたことがあります

ここが一番、知っておく価値があるところだと思います。

同じハンドブックに、こう書かれています。

チルドの原料肉をスライスし易くするために肉塊の表面を一時的に瞬間凍結し、スライス加工の後、販売する場合は冷凍表示をする必要はありません。

食肉の表示に関する公正競争規約のハンドブック

薄切り肉を作るとき、肉が柔らかいときれいに切れません。
表面を一瞬だけ凍らせて、固くしてから切る。これは現場で普通に行われていることです。

このとき、肉芯までは凍っていないので「冷凍」にはあたらず、表示もしなくていいことになっています。

「解凍」と書いていない=一度も凍っていない、ではありません。

驚かせたいわけではありません。
それで品質が落ちるわけでもありません。
ただ、表示を過信しないほうがいい、ということです。

外国産なら冷凍で来るのではないですか

カナダ産やアメリカ産の豚肉に「解凍」と書かれていないのを見て、おかしいと思ったことはありませんか。
私もそう思っていました。
外国から運んでくるのだから、凍らせているはずだと。

調べたら、外れていました。

農畜産業振興機構(農業や畜産のことを調べている独立行政法人です)の報告では、カナダから日本に輸出される豚肉の約8割が生鮮・冷蔵です。
真空パックのまま0〜4度で運ばれてきます。
日本が輸入する生鮮・冷蔵の豚肉に占めるカナダ産の割合も、2015年の37%から2023年には46%に上がっています。

凍っていないのですから、「解凍」ではありません。
書かれていないのが当たり前でした。

よくある質問

消費期限は短くなるのですか

「解凍品だから消費期限を短くする」という決まりは、公的な資料の中に見つけられませんでした。

消費期限は、お店が商品ごとに決めています。
解凍品だから一律に何日、という決まりはないようです。

ただ、調理師として売り場を見てきた感覚では、解凍品の期限は短めに設定されていることが多いと感じます。
これは私の印象であって、根拠のある数字ではありません。

はっきりしているのは、パックに書かれた消費期限を守るということだけです。
「解凍だから早めに」ではなく、「書いてある日までに」で判断してください。

「解凍」の肉は、家で冷凍していいのですか

できます。ただし条件があります。

  • 買ったその日のうちに冷凍する
  • 解凍したら、もう一度冷凍しない
  • 味と食感は、さらに落ちることを承知しておく

すでに一度「凍らせる→溶かす」をしているので、家で冷凍すると2回目になります。
そのぶんドリップが出て、味は落ちます。
どれくらい出るのかは、刺身で実際に量ってみました。
45.9gのうち10.5gが流れ出ました。

ただ、捨てるよりはずっといいです。
食べきれないなら、その日のうちに冷凍してください。

肉の種類ごとの条件は、鶏肉の再冷凍は大丈夫?調理師の答えは「半解凍まで」ですと豚肉・牛肉の再冷凍は大丈夫?鶏肉との違いを調理師が説明しますにまとめています。

「解凍」は、古い肉という意味ですか

違います。
凍らせて運んできた、というだけです。

むしろ、遠くから運ぶ肉や、まとめて仕入れる肉は凍らせるほうが品質を保てます。
古いから凍らせているわけではありません。

なぜ安いことが多いのですか

解凍品だから安い、と決まっているわけではありません。

ただ、冷凍で輸送・保管できる肉はまとめて仕入れられるので、結果として安くなることはあります。
これは私の見方で、決まりがあるわけではありません。

「フローズン」と「冷凍」は違うのですか

同じです。
規約の条文に「「冷凍」若しくは「フローズン」」と並べて書かれています。
どちらを使ってもいいということです。

魚の「解凍」と肉の「解凍」で、扱いは変わりますか

表示の根拠は違いますが、意味は同じです。
一度凍らせて溶かしてある、ということです。

ただし魚のほうが傷みやすいので、扱いはより急いでください。
刺身を冷凍したときの記録も参考にしてください。

結局、買うときはどうしたらいいか

売り場で迷ったときの判断を、先に書いておきます。

「解凍」と書いてあっても、避ける必要はありません。古い肉という意味ではなく、遠くから運ぶために凍らせた、というだけです。
凍らせたほうが品質を保てる場合もあります。

書いていないほうが上、でもありません。
表示のない肉も、スライスのために表面を凍らせていることがあります。
表示のあるなしは、品質の順位ではありません。

見るのは、消費期限と見た目と値段です。
ここはふだんの買い物と同じで構いません。
「解凍」の文字で決める必要はありません。

魚で「解凍」のものは、その日に使うつもりで買ってください。
意味は肉と同じですが、傷むのは魚のほうが早いです。
その日に食べないなら、帰ってすぐ冷凍室に入れられるときだけ買う、と決めておくと迷いません。

買ったあとに、どうしたらいいか

その日のうちに使うか、その日のうちに冷凍してください。
一度凍らせて溶かしたものは、すでに水が出ています。
冷蔵庫に置いておくと、そこからさらに落ちます。
使わないと決めた時点で冷凍室に入れるのが、いちばん損をしない扱いです。

家で冷凍したものを解凍したら、もう一度凍らせないでください。
「解凍」の肉を家で冷凍すると2回目になります。
それを溶かしてから、また凍らせるのは避けてください。
使う分だけ解凍してください。

まとめ

スーパーの「解凍」表示について、整理します。

  • 「解凍」=一度凍らせて、溶かして売っているという意味
  • 魚は法律(食品表示基準)、肉は業界の取り決め(公正競争規約)が根拠
  • 鶏だけ「凍結品」「解凍品」と使う言葉が決まっている
  • 「解凍」と書いていなくても、表面が凍っていたことはある
  • 消費期限を短くする決まりは見当たらない。書いてある期限で判断する
  • 家で冷凍できるが、買った日のうちに
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