こんにちは、とまきちです٩( ‘ω’ )و
前回の記事で、「身寄りがないと老人ホームに入れない?」という話を書きました。
書きながら、ふと気づいたことがあります。
「身元保証で入所中の保証はできた。でも、自分が亡くなった後の手続きは、誰がやってくれるんだろう」
葬儀の手配、家の片付け、解約手続き、スマホやSNSの整理。
亡くなった後にも、たくさんの手続きが残ります。
家族がいれば、その人たちが動いてくれます。
でも、おひとりさまの場合は、誰が?
調べていくうちに、「死後事務委任契約」という言葉に出会いました。
亡くなった後の手続きを、生前のうちに信頼できる人や法人に頼んでおく契約です。
これがあれば、おひとりさまでも安心できる。
そう思って、当事者として真剣に調べてみました。
この記事は、その答えをまとめたものです。前回の身元保証の話と合わせて読むと、おひとりさまの老後の準備が、もっと具体的に見えてきます。

そもそも「死後事務委任契約」とは何か
死後事務委任契約とは、簡単に言うとこういうものです。
自分が亡くなった後に発生する手続きを、生前のうちに、信頼できる人や法人に委任しておく契約。
通常、亡くなった後の手続きは、家族や親族が行います。
葬儀を出す、住居を引き払う、各種サービスを解約する、こうした事務的な作業を「死後事務」と呼びます。
家族がいる場合は、特に契約をしなくても、家族が動いてくれます。
でも、おひとりさまの場合や、家族と疎遠な場合、こうした手続きを誰かに頼んでおかないと、誰もやってくれない、または「誰がやるか」で揉める原因になります。
死後事務委任契約は、それを生前のうちに「この人に頼む」と決めておく仕組みです。
費用も先に預けておくので、亡くなった後にお金の問題で揉めることもありません。
「自分が亡くなった後のことなんて、自分には関係ない」と思うかもしれません。
でも、おひとりさまにとっては、これが最後の責任の取り方でもあります。
誰かに迷惑をかけないために、生前に準備しておく。
これが、おひとりさまの終活の核心のひとつです。
死後事務委任で頼める手続き、頼めない手続き
死後事務委任契約でカバーできる手続きと、できない手続きがあります。
これを最初に理解しておくことが大事です。
頼める手続きの例
・納骨、お墓・永代供養の手続き
・住居の解約、明け渡し
・家財道具の処分、遺品整理
・公共料金(電気・ガス・水道・通信)の精算と解約
・医療費、施設利用料の精算
・健康保険、年金などの資格喪失手続き
・SNSアカウント、サブスクリプションの解約
・パソコン・スマホのデジタル遺品の整理
・ペットの引き取り先の手配
・関係者への死亡通知
これだけの手続きが、亡くなった後に発生します。
改めて見ると、数の多さに驚きますよね。
これを誰かが代わりにやってくれる、と決まっているだけで、安心感が違います。
頼めない手続きの例
一方で、死後事務委任ではできないこともあります。
・遺言の執行
・相続税の申告
・本人にしかできない手続き(年金請求など)
これらは、死後事務委任とは別の制度でカバーします。
財産の分配は「遺言書」で指定し、必要なら「遺言執行者」を指名します。
相続税の申告は、相続人または専門家が行います。
つまり、おひとりさまの終活は、死後事務委任契約と遺言書の両方をセットで準備することが理想なのです。
これについては、次回の記事で詳しく書きます。
死後事務委任は、誰に頼めるのか
ここから、契約の相手選びの話です。
死後事務委任は、誰に頼めばいいのか。主な選択肢は4つあります。
メリット:信頼できる人なら一番安心
デメリット:頼める関係性がないと使えない、相手の負担が大きい
メリット:法的な知識があり安心、責任の所在が明確
デメリット:費用が比較的高い、相性の合う専門家を探す手間
メリット:身元保証と一括で契約できる、サポート範囲が広い
デメリット:業者選びが難しい、過去には破綻事例も
メリット:公的機関なので安心感がある
デメリット:対応地域が限られる、サービス内容にも地域差
それぞれ、簡単に補足します。
家族・親族・友人は、頼める関係性があれば一番自然な選択肢です。
ただし、おひとりさまの場合、そもそも頼める人がいないからこそ、この制度を検討するわけで、現実には他の選択肢を選ぶことが多いです。
司法書士・行政書士・弁護士は、法律の専門家としての安心感が魅力です。
特に司法書士・行政書士は、死後事務委任を扱うところが増えており、相談しやすい窓口です。
費用は比較的高めですが、責任の所在が明確で、法的に安心です。
NPO法人・民間の身元保証サービス会社は、身元保証契約と死後事務委任契約をセットで提供しているところが多いです。
「ひとまとめに任せられる」のが大きな魅力。
ただし、過去に大手業者が破綻して預けたお金が返ってこなくなった事例もあり、業者選びは慎重に。
社会福祉協議会は、地域差が大きいです。
お住まいの地域でどんなサービスがあるか、まず確認してみる価値があります。

死後事務委任契約の費用、いくらかかるのか
ここがおひとりさまにとって、一番気になる部分かもしれません。
FPとして、費用の構造を整理して解説します。
死後事務委任の費用は、大きく3つに分かれます。
契約書の作成費用、初期手続き費用など。一度きりの支払い。
②預託金:50万〜150万円程度
亡くなった後の葬儀費用、各種精算費用として、生前に預けておくお金。実際に使われた以外は、指定の相手に返金される。
③管理費(契約によっては):月額数千円〜
契約の管理、年1回の連絡など、生前のサポート費用。
最初に「合計100万〜200万円かかる」と聞くと、ぎょっとしますよね。
でも、その内訳を見ると、ほとんどが預託金(後で使われるお金)であり、契約そのものの費用は数十万円というケースが多いです。
預託金は、亡くなった後に葬儀や手続きで実際に使われ、余ったお金は指定の相続人や慈善団体などに返金される仕組みが一般的です。
つまり、預託金は「契約相手に取られるお金」ではなく、「自分の死後の手続きのために自分で前払いするお金」と理解するのが正確です。
それでも、生前にこの金額を準備するのは、簡単ではありません。
だからこそ、終活費用は今から少しずつ積み立てて準備するのが現実的なんです。
契約する前に確認すべき5つのポイント
費用も決して安くない契約です。
慎重に選ぶ必要があります。
FPとして、契約前に確認すべき5つのポイントをお伝えします。
ひとつめ
契約書の内容を細かく確認する。何を頼めて、何を頼めないかが明文化されているか。
「やってくれると思ったのに、契約外だった」というトラブルを防ぐため、口頭ではなく書面で確認します。
ふたつめ
預託金の管理方法を確認する。
預けたお金が、業者の運営費と分けて管理されているか。
信託銀行などで分別管理されている契約先は、信頼度が高いです。
みっつめ
契約解除や返金の条件を確認する。
途中で気が変わった、別の方法に切り替えたい、となった時、預けたお金がどれだけ戻るか。
「ほぼ戻りません」という契約は警戒します。
よっつめ
万が一、受任者(契約相手)が先に亡くなった場合の対応。
契約相手も人間です。先に亡くなる可能性もあります。
その場合、契約はどうなるのか、別の人が引き継ぐ仕組みがあるか、を必ず確認します。
いつつめ
第三者のチェック体制があるか。
NPO法人なら理事会、専門家なら所属団体のチェックなど、運営を外部から監視する仕組みがあるか。
閉じた組織は、不正が起きても外部に見えません。
これらを確認するには、契約前に複数の候補と面談する、契約書を持ち帰って熟読する、可能なら家族や友人にも相談する、といった慎重さが必要です。
「今すぐ契約しないと損」のような営業トークには、特に注意してください。

身元保証・遺言とセットで考える、おひとりさまの「3つの契約」
ここまで読んでいただいて、もうお気づきかもしれません。死後事務委任契約は、それだけで完結するものではありません。おひとりさまの終活には、3つの契約を組み合わせて準備することが理想なんです。
②死後事務委任契約:亡くなった後の事務手続き
③遺言書:財産の相続先の指定
身元保証は「生きている間」、死後事務委任は「亡くなった後の手続き」、遺言書は「財産の行き先」を決めるもの。それぞれカバーする領域が違うので、ひとつだけでは不十分です。3つをセットで準備して、初めておひとりさまの「生前から死後まで」がカバーされます。
「3つも契約するの?面倒だな」と思うかもしれません。でも、契約相手によっては、3つを一括でサポートしてくれるところもあります。NPO法人や民間の身元保証サービス会社の多くは、身元保証と死後事務委任をセットで提供しています。司法書士や行政書士なら、遺言書の作成も含めて相談できます。一度に全部を整える必要はありませんが、順番に少しずつ準備していくことが大切です。
次回の記事では、3つ目の「遺言書」について詳しく書きます。おひとりさまの財産は、誰が受け取るのか?遺言書がないとどうなるのか?この続きを、ぜひ読んでください。
今日から始められる、お金の準備
最後に、お金の準備の話です。
死後事務委任の費用に加え、前回の身元保証、次回の遺言書まで含めると、おひとりさまの終活費用は決して小さくありません。すべてを合わせると、数百万円規模の準備が必要になることもあります。
でも、これは一度に必要なお金ではないということを、もう一度お伝えしておきます。これから10年、20年、30年かけて、コツコツ準備していけば、十分に間に合います。
大事なのは、自分の場合いくら必要なのか、月にいくら積み立てればいいのか、を数字で把握することです。
漠然とした不安より、数字で見える不安の方が、対処しやすい。
これは前回も書きましたが、終活で何度伝えても伝え足りない、大事なことです。

まとめ 亡くなった後の手続きも、生前に準備できる
長い記事になりましたが、最後にお伝えしたいことは、シンプルです。
亡くなった後の手続きは、本人がやることはできません。
でも、生前のうちに「誰に頼むか」を決めておくことならできます。
それが、死後事務委任契約です。
おひとりさまの場合、家族に頼れないからこそ、この契約が安心の土台になります。
司法書士などの専門家、NPO法人、社会福祉協議会など、選択肢はいくつかあります。
費用は決して小さくありませんが、預託金として「自分の死後のために自分で前払いする」という構造を理解すれば、見え方が変わります。
そして、死後事務委任だけでは終わりません。
身元保証(前回の記事)、死後事務委任(今回)、遺言書(次回)の3つをセットで準備することが、おひとりさまの終活の理想です。
ふと「亡くなった後の手続き、誰が…」と不安になった時、この記事を思い出してください。
準備すれば、ちゃんと任せられる仕組みがあります。
「おひとりさまでも、最期まで誰かに迷惑をかけずに整えられる」、これがFP2級でおひとりさまの私からの、当事者としての答えです。
次回は、おひとりさまの「遺言書」について書きます。
財産は誰が受け取るのか、遺言書がないとどうなるのか、書き方のポイントまで、当事者目線で解説します。
一緒に、ゆっくり準備していきましょう٩( ‘ω’ )و
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