こんにちは、とまきちです٩( ‘ω’ )و
前回まで、身元保証契約・死後事務委任契約・遺言書・見守りサービス・葬儀とお墓・成年後見制度と任意後見と、おひとりさまの備えについて書いてきました。
今回は、シリーズの中でも特に「考えたくない」と後回しにされがちな、でもとても大切なテーマです。
「もし意識を失ったら、延命治療はどうなるのだろう」
「自分は延命治療を望まないけれど、それを誰に伝えればいいのか」
「リビングウィルという言葉は聞いたことがあるけれど、何をどう準備すればいいのか分からない」
おひとりさまにとって、終末期の医療判断は特に切実な問題です。
家族がいれば、家族が医師と相談しながら判断してくれます。
でも、おひとりさまの場合、その役割を担う人がいません。
前回書いた任意後見人や死後事務委任の受任者に、医療に関する希望を伝えておく仕組みを作ることが、おひとりさまにとってとても重要です。
その仕組みのひとつが、今回紹介する「リビングウィル」です。
今回のテーマは、FP(ファイナンシャルプランナー)の試験科目でいうと「ライフプランニング」の分野に近い内容です。
自分の人生の最終章をどう設計するか、という話です。
FP2級として、また当事者として真剣に調べてまとめました。

リビングウィルとは何か
まず、リビングウィルの基本を整理します。
リビングウィルとは、自分が意思表示できなくなった時のために、医療に関する希望を事前に書き留めておく文書です。
「生前意思表明書」とも呼ばれます。
例えば、こんな内容を書いておくことができます。
「回復の見込みがない状態では、延命治療を望まない」
「痛みを和らげる緩和ケアを優先してほしい」
「臓器提供に同意する」
リビングウィルは、医療現場で広く認知されており、本人の意思として尊重されることが多いです。
ただし、日本では現時点でリビングウィルに法的拘束力はありません。
あくまで「本人の意思の表明」として、医師や医療チームの判断の参考にされる文書です。
この点は正直にお伝えしておきたいのですが、法的拘束力がないからといって無意味なわけではありません。
「本人がこう望んでいた」という明確な意思表示があることで、医師も判断しやすくなりますし、任意後見人や受任者が医療チームに伝える際の根拠になります。

リビングウィルと尊厳死宣言の違い
リビングウィルと似た言葉に「尊厳死宣言」があります。
この2つの違いを整理しておきます。
形式:自分で書いた文書、または日本尊厳死協会などのフォームを使って作成
法的効力:法的拘束力はないが、医療現場では尊重される
費用:ほぼ無料(日本尊厳死協会への入会費用のみ)
形式:公証役場で公証人のもとで作成する公正証書
法的効力:リビングウィルより公式性が高く、医療・法律の両面で有効
費用:数万円程度(公証役場の手数料)
簡単に言うと、リビングウィルは「自分で書いた意思表明の文書」、尊厳死宣言は「公証役場で公式に作成した法的文書」です。
どちらが良いかは、費用と確実性のバランスで考えます。
「まずリビングウィルから始めて」、より確実にしたい場合は尊厳死宣言(公正証書)に格上げする、という進め方が現実的です。
おひとりさまにとってのリビングウィルの重要性
なぜ、おひとりさまにリビングウィルが特に重要なのか。
理由は3つあります。
ひとつめ 家族がいないため、医師が誰に確認すればいいか困ることがある
家族がいる場合、医師は家族に「延命治療をどうしますか?」と確認します。
おひとりさまの場合、確認できる家族がいません。
その結果、本人の意思とは無関係に、医師の判断だけで治療方針が決まってしまうことがあります。
リビングウィルがあれば、「本人はこう望んでいた」という根拠を医師に示せます。
ふたつめ 任意後見人や死後事務委任の受任者に、医療の希望を伝える文書として機能する
前回書いた任意後見契約では、医療・介護の手続きを後見人に任せられますが、「どんな治療を望むか」という内容までは後見人が独断で決められません。
リビングウィルを作って受任者に渡しておくことで、「本人の希望はこの文書の通りです」と医師に伝えてもらえます。
シリーズ全体の「生前から死後まで」の備えが、ひとつにつながる瞬間です。
みっつめ 自分の最期は自分で決めるという意思表示が、リビングウィルの本質
「延命治療を望まない」という希望は、口で言うだけでは医療現場では反映されにくいです。
文書として残しておくことで、意識がない状態でも自分の意思が尊重される可能性が高まります。
もう一つ重要なポイントを追加します。
リビングウィルは、おひとりさまでも、自分の最期を自分で決められる唯一の手段です。
リビングウィルに書いておくべきこと
リビングウィルには、具体的にどんな内容を書けばよいのか。
主な項目を整理します。
緩和ケアへの希望:痛みを和らげることを最優先にしてほしいか
臓器提供の意思:臓器提供に同意するかどうか
輸血についての希望:輸血を受け入れるかどうか
医療情報を共有してほしい人:任意後見人・死後事務委任の受任者の名前と連絡先
入院・施設についての希望:どんな環境で最期を迎えたいか(自宅・病院・施設など)
これらすべてを書く必要はありません。
自分が特に伝えておきたい項目だけでも、書いておく意味があります。
ひとつ大事なことをお伝えします。
リビングウィルは一度書いたら終わりではありません。
年齢や健康状態が変わるにつれて、希望が変わることもあります。
定期的に見直して、必要に応じて書き直すことをおすすめします。

リビングウィルの作り方と保管方法
では、実際にどうやって作ればいいのか。
選択肢を3つご紹介します。
ひとつめ 日本尊厳死協会のフォームを使う
日本尊厳死協会は、リビングウィルの普及活動をしている団体です。
協会に入会すると、リビングウィルの用紙と書き方のガイドが提供されます。
入会費と年会費がかかりますが、医療現場での認知度が高く、信頼性があります。
ふたつめ 自分で書く
決まった形式はないので、便箋に自分の言葉で書いても有効です。
氏名・生年月日・日付・署名を入れて、「自分の意思で書いた」ことが分かるようにします。
費用はかかりませんが、医療現場での認知度は協会の用紙より低い場合があります。
みっつめ 公正証書(尊厳死宣言)として作成する
公証役場で公証人のもとで作成します。
数万円の費用がかかりますが、法的な公式性が最も高い方法です。
任意後見契約を作成する際に、同時に作成するとスムーズです。
保管方法も大切です。
リビングウィルは、必要な時にすぐに見つけられる場所に保管することが重要です。
- かかりつけ医に渡しておく
- 任意後見人・死後事務委任の受任者に渡しておく
- 救急搬送時に発見されやすい場所(財布の中・冷蔵庫のドアの内側など)に写しを置いておく
- エンディングノートに挟んでおく
複数の場所に写しを置いておくのが、最も確実な方法です。
今日から始められる、お金の準備
最後に、費用の話をしておきます。
リビングウィル自体は、ほぼ費用がかかりません。
自分で書く場合は紙とペンだけ、日本尊厳死協会のフォームを使う場合も入会費程度です。
シリーズ全体を通じて、おひとりさまの終活の準備にかかる費用は、決して小さくないことをお伝えしてきました。
②死後事務委任契約:亡くなった後の手続き(第2回)
③遺言書:財産の行き先を決める(第3回)
④見守りサービス:異変を早期に発見する(第4回)
⑤葬儀・お墓:自分らしい見送りを決める(第5回)
⑥成年後見・任意後見:判断能力が低下した時の備え(第6回)
⑦リビングウィル:終末期の医療の希望を残す(今回)
これら7つの備えを、一度に全部揃える必要はありません。
できることから、少しずつ準備していけば大丈夫です。

まとめ 自分の最期は、自分で決めておける
長い記事になりましたが、最後にお伝えしたいことは、シンプルです。
リビングウィルとは、意識がなくなった時のために、医療に関する希望を書き留めておく文書です。
法的拘束力はありませんが、医療現場では尊重されることが多く、任意後見人や受任者に自分の希望を伝える手段としても機能します。
おひとりさまにとって、自分の最期は自分で決めるための唯一の手段が、このリビングウィルです。
作り方はシンプルです。
日本尊厳死協会のフォームを使う、自分で書く、公正証書として作成する、3つの方法があります。
費用をかけずに始めるなら、まず自分の言葉で書いてみることから始めてください。
そして、書いたリビングウィルは、かかりつけ医・任意後見人・死後事務委任の受任者に渡しておくことが大切です。
「書いただけで誰にも伝えていない」では、意味がありません。
シリーズを通じて、おひとりさまの「生前から死後まで」の7つの備えをお伝えしてきました。
全部を一度に準備する必要はありません。
できることから、少しずつ、ゆっくり整えていけば大丈夫です。
ふと「もし意識を失ったら」と不安に感じた時、この記事を思い出してください。
「おひとりさまでも、自分の最期を自分で決められる」、これがFP2級でおひとりさまの私からの、当事者としての答えです。
次回は、おひとりさまの実家じまい・空き家問題について書きます。
親の家をどうするか、農地はどうするか、当事者目線で解説します。
一緒に、ゆっくり準備していきましょう٩( ‘ω’ )و


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