こんにちは。
大阪で一人暮らしをしている、調理師でFPのとまきちです٩( ᐛ )و
いつからあるか分からない肉を冷蔵庫から見つけたら、顔を近づけてにおいで安全を確認する方も多いのではないでしょうか。
においとしては腐っているとまでは思わない。
でも、買ったときとは違う気がするし…。
捨てるには惜しい、でも、食べるには怖い…。
といことで、この記事では、私が5日と10時間、実際に生肉を冷蔵庫に入れてにおいを確認した経験を活かして、においの種類を3つに分けて食べられる状態なのかをお答えします。
そしてもうひとつ、どうしてもお伝えしたいことがあります。
においがしないことは、安全の証明にはなりません。
これについては公的機関もはっきり書いていることなんです。
結論 においの種類で決まります
解凍した肉のにおいは、大きく3つに分かれます。
においが出てくる順番も違います。
| においの種類 | 正体 | どうするか |
|---|---|---|
| 古い油・ペンキのようなにおい | 脂の酸化 | すぐ加熱すれば食べられる。味は落ちる |
| 酸っぱいにおい | 菌が増えている | 捨てる |
| アンモニア臭・生ゴミのにおい | 腐敗 | 捨てる |

大事なのはここです。
においで分かるのは「古いかどうか」であって、「安全かどうか」ではありません。
理由は後で詳しく書きますが、先に一言でいうと、食中毒を起こす菌は、においを変えずに増えるからです。
① 古い油・ペンキのようなにおい ― 脂の酸化です
一番はじめに出てくるにおいです。
古くなった揚げ油や、ペンキ、クレヨンのようなにおいと表現されます。
これは菌とは関係のない現象です。
肉の脂が、空気に触れて酸化しています。
思い浮かべやすいのは、揚げ油だと思います。
何度も使った油が、だんだん嫌なにおいになっていく。あれと同じことが、肉の脂でも起きています。
食品の研究をしている広島県の食品工業技術センターも、油脂は空気中の酸素や光によって酸化が進むと説明しています。
つまり、菌が一匹もいなくても起きる変化です。
ですから、このにおいがしても「腐っている」わけではありません。
ただし、脂が酸化するには時間がかかります。
においが分かるということは、それだけ時間が経った証拠です。

私が観察したときも、赤身の色より先に脂の色が動きました。
白かった脂がクリーム色になり、そのあと黄色みを帯びていきます。
傷んだ油のようなにおいがしていました。
冷凍室に入れていてもにおうのはなぜですか
酸化は、冷凍室の中でも少しずつ進むからです。
温度が低いと遅くなりますが、止まりはしません。
袋の中の空気を抜かずに冷凍していると、より早く進みます。
白っぽくなったり灰色がかった茶色になったりする冷凍焼けも、同じ流れの中で起きています。
② 酸っぱいにおい ― 菌が増えています
ヨーグルトや酢のような、ツンとした酸っぱさを感じたら、こちらです。
肉の表面で菌が増え、酸ができている状態です。
脂の酸化とは違って、こちらは菌の活動です。
見分けるときの手がかりがもうひとつあります。
さわってみてください。
酸っぱいにおいが出ているときは、表面がぬるぬるしていることが多いです。
光って見えるようになったら、もう出ています。
ここまで来たら、迷わず捨ててください。
③ アンモニア臭・生ゴミのにおい ― 腐敗しています
鼻にツンとくるアンモニアのようなにおい、生ゴミのようなにおい、ゆで卵が腐ったようなにおい。
これらは腐敗です。
肉のたんぱく質が微生物に分解されると、アンモニア、硫化水素、アミン類といった物質ができます。
これらが悪臭の正体です。
ここまで来ていれば、誰が嗅いでも分かります。
判断に迷うことはありません。
においがしないのに危ないことがあります
ここがこの記事で一番お伝えしたいところです。
札幌市保健所は、食中毒についてこう説明しています。
腐敗をおこす菌とは違い、食中毒菌がついていても、食べ物の味やにおい、見た目は変わらないのが普通です。
札幌市「覚えて防ごう!食中毒の基礎知識」
腐らせる菌と、食中毒を起こす菌は、別の菌です。
腐敗させる菌は、増えるとにおいを出します。
だから私たちは気づけます。でも食中毒を起こす菌は、においも味も見た目も変えずに増えます。
つまり、「においをかいだけど大丈夫だった」は、安全の証明になりません。
においがしないことで分かるのは、腐敗していないということだけです。
においは「捨てる理由」にはなりますが、「食べる理由」にはなりません
においがしたら捨てる。これは正しい判断です。
けれど、においがしないから食べる、は成り立ちません。日数で区切る必要があるのは、このためです。
5日10時間、においを追った記録
実際に、冷蔵庫で解凍した豚こま切れ肉を5日と10時間、においをかぎながら観察しました。
| 経過 | におい | 手ざわり |
|---|---|---|
| 解凍開始〜1日9時間 | なし | 変化なし |
| 1日19時間 | わずかに油っぽい | — |
| 2日9時間 | 油のにおいがはっきり | 表面が光る・ぬめり |
| 3日9時間 | 油のにおい | ぬめり |
| 5日10時間 | 油のにおいが強い | ぬめり |
結果はこうでした。
- 腐敗臭は、5日10時間たっても最後までしませんでした
- 油の酸化したにおいは、2日目あたりから出はじめました
- 同じ頃、表面にぬめりが出ました

もし「腐ったにおいがしたら捨てよう」と決めていたら、私は5日目も食べていたことになります。
それがどれだけ危ないかは、さきほどの札幌市の説明のとおりです。
この観察の全記録は、冷蔵庫で解凍した肉は何日もつ?調理師が5日間観察しましたにまとめています。
袋を開けた瞬間だけにおうことがあります
ひとつ、まぎらわしい場合があります。
ぴったり密閉されていた肉を開けたとき、開けた直後だけにおうことがあります。
閉じ込められていたにおいが出てくるためです。
数分置いて、においが消えるようなら、そのにおいです。
消えずに残るようなら、①〜③のどれかで判断してください。
これは調理の現場で使っている見分け方で、公的な基準があるわけではありません。
迷ったら、残すより捨てるほうを選んでください。
においがしたときに、やってはいけないこと
洗う
一番やってしまいがちですが、においは流せても、菌は流せません。
むしろ、洗った水が流しや手、まわりの食器に飛び散ります。
農林水産省は、鶏肉について「洗わないで」と呼びかけています。水と一緒に食中毒菌が飛び散り、キッチンや周りの食材に広がってしまうからです。
呼びかけているのは鶏肉についてですが、同じことは豚肉でも牛肉でも起きます。
濃い味つけでごまかす
カレーや焼肉のたれで、においは分からなくなります。
ですがにおいが消えただけで、肉の状態は何も変わっていません。
下味をつけて冷凍した肉で判断が難しくなるのも、同じ理由です。
だから下味冷凍は、においではなく日数で区切ります。
「加熱すれば大丈夫」と考える
加熱は万能ではありません。
菌そのものは死んでも、菌が作った毒素の中には、加熱しても消えないものがあります。
黄色ブドウ球菌の毒素がその代表です。
鶏肉を常温で解凍してしまったら?で詳しく書いています。
よくある質問
鶏肉やひき肉でも同じですか
においの種類と意味は同じです。ただし出てくるまでの早さが違います。
切った面が多いほど、空気に触れる面積が増えるので早く進みます。かたまり肉よりこま切れ肉、こま切れ肉よりひき肉のほうが早いです。
においがなければ何日でも大丈夫ですか
いいえ。上に書いたとおり、においは安全の証明になりません。
冷蔵庫で解凍した肉は、食べるなら2日まで、2日以内でもぬめりが出たらその時点で終わり、と決めておくのが現実的です。根拠は5日間観察した記事に書きました。
冷凍室から出した肉が、焼いたら油くさかったのですが
脂の酸化です。加熱すると、においがより立ちます。
食べて体調を崩すたぐいのものではありませんが、おいしくはありません。気になる部分を切り落とすか、しょうがやにんにく、みそなど香りの強いものと一緒に調理すると食べやすくなります。
真空パックの肉が、開けたら酸っぱいにおいがしました
数分で消えるなら、閉じ込められていたにおいのことがあります。残るようなら捨ててください。
酸っぱいにおいは、においの3種類の中では迷わず捨てる側です。
まとめ
解凍した肉のにおいについて、整理します。
- 古い油・ペンキのにおい=脂の酸化。菌とは別。すぐ加熱すれば食べられるが、味は落ちる
- 酸っぱいにおい=菌が増えている。ぬめりを伴うことが多い。捨てる
- アンモニア臭・生ゴミのにおい=腐敗。捨てる
- においがしない=安全ではない。食中毒菌はにおいを変えずに増える
- においは「捨てる理由」にはなるが、「食べる理由」にはならない
においをかいで迷ったら、次にさわってみてください。表面が光っていたら、においが何であっても終わりです。
そして、においも手ざわりも大丈夫だったとしても、日数は守ってください。鼻で分からないものがあるからです。


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