こんにちは、とまきちです٩( ‘ω’ )و
前回まで、身元保証契約・死後事務委任契約・遺言書・見守りサービス・葬儀とお墓・成年後見制度と任意後見・リビングウィルと、おひとりさまの備えについて書いてきました。
今回は少し違う角度から、おひとりさまが直面しやすい問題を取り上げます。
「親が亡くなった後、実家はどうなるのだろう」
「空き家のまま放置しているけれど、本当に大丈夫なのだろうか」
「実家じまいって、何から手をつければいいのか分からない」
私自身、実家と農地を持つ家に育ちました。
将来的に実家を相続する可能性が高い立場です。
大阪で一人暮らしをしている今、実家の行く末は他人事ではありません。
今回のテーマは、FP(ファイナンシャルプランナー)の試験科目でいうと「不動産」の分野に近い内容です。
実家という不動産を、どう整理していくか。
FP2級として、また当事者として、リアルな視点でまとめました。

この記事について
本記事は、FP2級の視点から、おひとりさまの実家じまい・空き家問題に関する一般的な情報をまとめたものです。執筆時点(2026年6月)の法律・制度に基づいていますが、法律は改正される可能性があります。また、個別の不動産事情には記事の内容が必ずしも当てはまらない場合があります。実際に実家じまいや不動産の処分を検討される際は、最新情報をご自身で確認のうえ、必要に応じて司法書士・税理士・不動産会社などの専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当ブログは一切の責任を負いかねます。
空き家を放置すると、何が問題になるのか
まず、空き家を放置することで何が起きるのかを整理します。
ひとつ目の問題は、固定資産税の負担です。
人が住んでいない家でも、所有している限り固定資産税はかかり続けます。
さらに、適切に管理されていない空き家は「特定空き家」に指定されることがあります。
特定空き家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例(税負担を軽減する優遇措置)が外れ、税額が最大で6倍程度に跳ね上がることもあります。
これは「空き家対策特別措置法」に基づく制度です。
2015年に施行され、その後改正が重ねられています。
全国的に空き家が社会問題化していることを背景に、自治体が空き家の管理を強く求めるようになっています。
ふたつ目の問題は、倒壊・火災のリスクです。
管理されない家は老朽化が進み、台風や地震で倒壊するリスクが高まります。
不審火やもらい火のリスクも、人が住んでいる家より高くなります。
みっつ目の問題は、近隣トラブルです。
雑草の繁茂、害虫の発生、景観の悪化などで、近隣住民とのトラブルに発展することがあります。
自治体に苦情が入ると、所有者に対して特定空き家の指定や、改善の指導が行われることもあります。
よっつ目の問題は、資産価値の下落です。
放置期間が長くなるほど、建物の劣化が進み、売却時の価値が下がります。
「いつか売ろう」と先延ばしにしているうちに、資産価値がどんどん目減りしていくのが現実です。
実家じまいの4つの選択肢
実家じまいには、大きく4つの選択肢があります。
それぞれの特徴を整理します。
メリット:まとまった現金が入る、管理の手間から解放される
デメリット:地方や過疎地では買い手が見つかりにくい、売却までに時間がかかることも
メリット:継続的な収入が得られる、所有権を維持できる
デメリット:リフォーム費用がかかることが多い、管理の手間が続く、入居者が見つからないリスク
メリット:倒壊・火災のリスクがなくなる、土地として売りやすくなることもある
デメリット:解体費用がかかる(100万〜300万円程度)、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる
メリット:思い入れのある実家を残せる、将来的な活用の可能性を残せる
デメリット:固定資産税の負担が続く、管理の手間と費用がかかり続ける
おひとりさまには、「管理の手間を継続的に背負わない選択肢」が現実的です。
売却または解体が、長期的な負担を減らす意味では有力な選択肢になります。
ただし、思い入れのある実家をすぐに手放せない、という気持ちも当然のことです。
自分の状況と気持ちのバランスを見ながら、判断していくことが大切です。
実家じまいの進め方、5つのステップ
実際に実家じまいを進める場合、どんな順番で進めればよいのか。
基本的な流れを整理します。
ひとつめ 家財道具の整理(遺品整理)
まず、実家の中にある家財道具を整理します。
形見分けしたいもの、処分するもの、リサイクルできるものを仕分けます。
量が多い場合は、遺品整理の専門業者に依頼するのも選択肢です。
ふたつめ 不動産の名義変更(相続登記)
実家の名義を、相続人(自分)に変更する手続きです。
2024年4月から、「相続登記が義務化」されました。
相続が発生したことを知ってから3年以内に登記をしないと、過料(罰則)が科される可能性があります。
これまで「名義変更は急がなくていい」と思われがちでしたが、今は法律上の義務になっていることを覚えておいてください。
みっつめ 実家の状態を確認し、方向性を判断する
建物の老朽化の程度、立地、周辺の不動産市場の状況などを踏まえて、売却・賃貸・解体・継続保有のどれが現実的かを判断します。
よっつめ 不動産会社・解体業者に相談する
複数の不動産会社に査定を依頼し、相場感をつかみます。
解体する場合は、解体業者にも見積もりを依頼します。
いつつめ 売却・解体を実行する
方針が決まったら、実際に手続きを進めます。
売却の場合は契約から引き渡しまで、解体の場合は工事完了まで、数か月かかることもあります。

農地がある場合の注意点
実家とあわせて農地を相続するケースも多いです。
私自身、この点は当事者として特に強くお伝えしたいです。
農地は、通常の不動産とは違う特別なルールがあります。
ひとつめ 農地の売却には、農業委員会の許可が必要
農地法という法律により、農地を農地のまま売買する場合も、農地以外に転用する場合も、農業委員会の許可が必要です。
通常の不動産のように「売りたい人と買いたい人の合意だけ」では売買が成立しません。
ふたつめ 耕作放棄地になると、行政指導の対象になることがある
農地を耕作せずに放置していると、「遊休農地」として扱われ、自治体や農業委員会から利用意向の調査や指導が入ることがあります。
最終的には、固定資産税の負担が重くなる措置が取られることもあります。
みっつめ 農地を手放す方法は限られている
近隣の農家に買ってもらう、農地バンク(農地中間管理機構)に貸し出す、転用して宅地などにする、といった方法があります。
ただし、転用には厳しい条件があり、簡単にはできません。
農地を相続する予定がある方は、早めに地元の農業委員会やJAに相談しておくことをおすすめします。
「相続してから考える」では、選択肢が限られてしまうことがあります。

実家じまいを先延ばしにするリスク
「まだ大丈夫」「いつかやろう」と先延ばしにすることには、明確なリスクがあります。
相続人が増えて、手続きが複雑になる。
実家じまいをしないまま自分も亡くなると、次の世代(甥姪など)に相続されます。
相続人の数が増えるほど、全員の同意を得る手続きが複雑になります。
空き家の劣化が進み、解体費用が増える。
放置期間が長いほど、建物の損傷が進みます。
倒壊の危険性が高まると、解体費用も通常より高額になることがあります。
固定資産税の負担が積み重なる。
何も決めずに先延ばしにしている間も、固定資産税は発生し続けます。
特定空き家に指定されれば、その負担はさらに重くなります。
「いつか」ではなく、今のうちに方向性だけでも決めておくことが、将来の自分や、もしもの時に手続きを担う人(死後事務委任の受任者など)の負担を減らします。
今日から始められる、お金の準備
最後に、費用の話をしておきます。
実家じまいには、まとまった費用がかかることがあります。
解体費用は、建物の規模にもよりますが、100万〜300万円程度が目安です。
相続登記の費用は、司法書士に依頼する場合、数万円〜十数万円程度です。
不動産会社への仲介手数料は、売却価格に応じて発生します。
これらの費用を、事前に把握しておくことが大切です。
「実家を相続したけれど、お金がなくて何もできない」という事態を避けるために、シリーズで紹介してきた老後資金の計画の中に、実家じまいの費用も組み込んでおくことをおすすめします。

まとめ 実家じまいは、早めの一歩が負担を減らす
長い記事になりましたが、最後にお伝えしたいことは、シンプルです。
空き家を放置すると、固定資産税の負担増、倒壊・火災のリスク、近隣トラブル、資産価値の下落など、さまざまな問題が起きます。
実家じまいの選択肢は、売却・賃貸・解体・継続保有の4つ。
おひとりさまには、「管理の手間を継続的に背負わない選択肢」、売却や解体が現実的なことが多いです。
農地がある場合は、農地法という特別なルールがあるため、早めに農業委員会やJAに相談することをおすすめします。
「いつか」ではなく、今のうちに方向性だけでも決めておくことが、将来の負担を大きく減らします。
ふと「実家はどうなるんだろう」と不安に感じた時、この記事を思い出してください。
少しずつでも、方向性を決めていけば大丈夫です。
「実家じまいも、早めの一歩が未来の自分を助ける」、これがFP2級でおひとりさまの私からの、当事者としての答えです。
次回は、おひとりさまの老後資金・終活費用試算について書きます。
これまでのシリーズで紹介してきたすべての費用を、まとめて試算します。
当事者目線で解説します。
一緒に、ゆっくり準備していきましょう٩( ‘ω’ )و
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