✔緑肥って何?
✔どんな種類があるの?
✔どうやって使えばいいの?どのくらいの量を使えばいいの?
✔緑肥を使う時の注意点は?
はじめに
肥料の分類に含まれる緑肥。
トマト農家が実際にどのように緑肥を利用しているのかを紹介していきます。
緑肥の説明において、「セイコーエコロジア」さん、「雪印種苗」さんを参考にさせていただきました。
参考ページはこちら
「緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説 | コラム | セイコーエコロジア (100nen-kankyo.jp)」
緑肥とは?
そもそも緑肥とはどういう物を言うのでしょうか?
緑肥とは緑の肥料と書く通り、新鮮な緑色の植物そのものを土壌にすき込み使用する肥料のことを指します。緑肥として栽培した作物は収穫せずに土壌にすき込み、次に栽培する主作物の肥料成分として活用します。肥料として使われる植物は緑肥作物と呼ばれて、一般的にイネ科やマメ科を利用することが多いようです。
緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説 | コラム | セイコーエコロジア (100nen-kankyo.jp)
化学肥料ではなく、有機物肥料の1つなのですが、堆肥とはすこし違い、発酵する時間を堆肥ほど設けず、そのまま畑にすき込み(土と混ぜること)肥料として利用します。
緑肥の特徴
①土壌の物理性の改善 柔らかく根が張りやすい土に
植物が根を張ることで、固い土を柔らかくし、後に植える作物の根が張りやすい土を作ることができます。
②土壌の化学性の改善 化学肥料の使用量を減らせる
土に残った過剰養分を緑肥に吸収させることで、土中の養分が水によって流されることを防ぎ、後作の植物の肥料として使うことができます。
③土壌の生物性の改善 病害の抑制
緑肥には病害虫を抑制する効果もあります。
自分が使うライムギの緑肥はネコブ病や根腐れ病に効果があります。
このように緑肥には土壌を改善するのに大事な要素、物理性、化学性、生物性全てにおいて、化学肥料ではなく有機物を使っての改善が見込めます。
土壌の物理性、化学性、生物性について知りたい方はこちらでも説明をしています
→土壌改良材ケイントップ 実際の農家の使用量は?
緑肥の種類
では緑肥にはどのような物があるのか見て見ようと思います。(これから紹介する緑肥は全て「雪印種苗」さんの商品です。)
こちらは自分が使っているイネ科植物の「ライムギ種子 緑春Ⅱ」です。
耐寒・耐雪性が優れており、低温でも伸長しやすく、寒い地域に適しています。
物理性の改善が主な目的で使用します。
可愛い花が咲くこちらはマメ科植物の「クリムソンクローバ くれない」です。
1年生(越年性→秋に発芽して冬を越し、翌年の春に開花して、枯死する植物)のクローバ。
綺麗な深紅の花が咲いて、景観美にも利用できます。
マメ科の植物なので、空中窒素固定ができ、土壌の肥沃化も狙えます。
また、センチュウ類の抑制もできます。
「キカラシ」はアブラナ科植物の緑肥です。
綺麗な黄色い花が特徴で、景観作物としても利用されます。
炭素率が低く、分解されやすいのも特徴です。
カラシ成分には殺菌効果もあり、土壌にすき込むことで燻蒸効果を発揮し、病原菌の抑制効果を期待できます。
後述しますが、アブラナ科の緑肥なので、同じアブラナ科の植物(ダイコンやカブ、白菜など)は後作に植えないようにしましょう。
他にも面白い緑肥がありますが、またの機会に紹介したいと思います。
緑肥を使う時の注意点
これまで緑肥の良い所を多く紹介してきましたが、注意点もあります。
①化学農薬のような速効性、殺菌性は期待できない
緑肥は病原菌、病害虫の抑制効果が期待できますが、化学農薬のような効きめはきたいできないようです。
②後作を考えて緑肥を育てる必要がある
緑肥の効果を高めるには、緑肥を育てた後に植える作物が何かを決めておく必要があります。
先ほど出てきた「キカラシ」などはアブラナ科の植物を後作に植える時には向いていません。
ですが、イネ科の植物である「麦」や「トウモロコシ」などはあまり気にしなくても良いようです。
③後作の作物を植える時期を考える必要がある
緑肥は生の有機物を利用する方法です。
緑肥が土壌で分解される時に効果を発揮するものや、分解中に植えると根を痛める場合もあるので、分解が終わるまで約1ヶ月ほど期間を開ける必要があります。
④緑肥の成長に合わせる
緑肥の効果を得るにはある程度の量が必要です。
なので、後作の植物が育つ期間、緑肥を分解する期間に加え、緑肥が大きく育つ期間も確保しなければいけません。
また、緑肥にはすき込むのに最適な状態があります。
大きく育てておけば良いのではなく、「ライムギ」なら穂が出る前、「キカラシ」は種が出来る前など、植物の生長に合わせて刈り取り、すき込む必要があります。
トマト農家の緑肥の利用
それでは自分の圃場での緑肥の利用について見て行こうと思います。
11月の後半、トマトの収穫が終わりトマトの樹を倒し、ハウスの外へと運び出します。
トマトの残渣を運びだしたら、藁や堆肥、土壌改良材のケイントップなどの有機物を撒きます。
有機物資材を施し終わったら、緑肥のライムギの種「緑春Ⅱ」を蒔きます。
この時点で12月初旬。
かなり寒くなっています。
種はこんな感じ。
種には赤い薬がついているので、手袋などをして蒔いて下さい。
目安は10aあたり6~8㎏です。
手でムラのないように蒔いてください。
蒔き終わったら、トラクターで土を起こしつつ覆土します。
この後、ローラー等で鎮圧すると芽の出が良くなります。
飛騨高山は雪国なので、沢山の雪が降ります。
緑肥のライムギが心配ですが、雪腐病に強いので大丈夫・・・なはず(;^ω^)
これは雪が解け始めた今年(2022年)の3月の畑の様子です。
ちゃんとライムギが芽を出していました。
こちらは4月の様子。
ライムギが分けつして、大きくなっています。
すみません(;´Д`)
ここからは自分で撮った写真が無かったので、フリー画像をお借りしています。
5月中頃から6月初め。
ライムギが大体ひざの高さまで来たら刈る目安です。
ちょうど穂が出る前になります。
このように穂が出てしまってから刈ると茎が固くなり、分解されるのに時間がかかる様になります。
刈る時は「草刈り機」や「ハンマーナイフモア」を使います。
「ハンマーナイフモア」を始めて聞いた方もいると思うので、参考までに載せておきます。
刈る量が多い時はハンマーナイフモアの方を考えた方が良いです。
刈り取ったら、一週間程度乾燥させ、畑へすき込みます。
すき込み直後は糖類を分解する「ピシウム菌」が増殖するので、定植までは1ヶ月程度開けてください。
緑肥が入っているので、自分は10aあたり3㎏ほど窒素肥料を減らして基肥を計算します。
緑肥は速効性はなく中盤から効いてくるので、初めに肥料を効かせたい方は速効性肥料はちゃんと施すようにしてください。
まとめ
緑肥とは?
⇒新鮮な緑色の植物そのものを土壌にすき込み使用する肥料。
緑肥の特徴
⇒土壌改善において化学肥料ではなく、有機物で改善が見込める。
緑肥の種類
⇒「ライムギ種子 緑春Ⅱ」、「クリムソンクローバ くれない」、「キカラシ」。
緑肥を使う時の注意点
⇒①化学農薬のような速効性、殺菌性は期待できない、②後作を考えて緑肥を育てる必要がある、③後作の作物を植える時期を考える必要がある、④緑肥の成長に合わせる。
トマト農家の緑肥の利用
⇒播種は12月初旬、すき込みは5月中旬から6月初めに行った。
今回は「緑肥とは? トマト農家のライムギ利用方法」を紹介しました。
緑肥は化学肥料の利用を減らせるということで、近年注目されているのだそう。
花や見た目も楽しめる緑肥もあるので、今後も利用していけたらと思っています。
最後まで読んで下さりありがとうございます(^-^)
緑肥のように有機物を利用した土壌の改良関連の記事も書いています。
ぜひ、覗いて見てください。
有機物を利用した土壌の改良方法
ブログを書くために、参考、利用したサイト、ページ、本等
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